米国企業の10-12月期の決算発表が本格化しています。米国株式市場はNASDAQが比較的堅調な一方で、ダウ平均は11月安値を起点とする初動の上げ幅に対する倍値水準19,985ドル付近で、伸び悩むという流れが継続しています。トランプ大統領誕生直後の動きは予想しづらいですが、これだけ為替市場が動いているため、企業の決算もそこそこ株価変動要因になりえます。

ダウ採用30銘柄で決算発表の先陣を切ったのは、13日に発表したJPモルガンです。内容は融資や債券トレーディングが好調で利益が市場予想を上回る着地。ただ、株価の反応はほぼなく、織り込み済みの反応にとどまりました。ダウ平均が安値を付けた11/4を起点にみた場合、ダウ採用銘柄のなかでいちばん上昇したゴールドマン・サックスの次に上昇率が高く、トランプ相場を通じて十分に上昇していたことが要因として挙げられます。ちなみに、それ以外の上昇率上位は13日現在、ユナイテッドヘルス・グループ、アメリカン・エキスプレス、ウォルト・ディズニーと続きます。一方、30銘柄のなかで下落したのは、ウォルマート・ストアーズ、コカ・コーラ、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソン、シスコシステムズと5銘柄も存在します。

なぜ、そこに差があるのか?トランプ相場でも下落した銘柄があること自体が不思議なのですが、本国比率の高い企業は相対的に買われている一方、やはりドル高が警戒されてか、海外展開の比重が高い企業は上昇していません。つまり、今回の決算発表でダウ平均の変動率を高められるかどうかのポイントは、下落しているP&Gやジョンソン・エンド・ジョンソンなどのグローバル企業が24日‐25日の決算でどう反応するかです。
ここでドル高でも影響はたいしたことない、と市場が判断すればダウ平均の2万ドル突破の支援材料になりますが、業績が市場予想よりも悪ければ2万ドル達成は完全にお預けとなり、米国市場が本格的に調整に入る可能性が高まります。さらに、業績悪化が株式市場の調整要因となれば、トランプ氏への風当たりが強くなり、ドル高けん制発言などを通じて為替市場がいっそう不安定になるシナリオも考えられます。

最後にダウ平均の日柄分析です。実は、2015年8月~9月の安値と、2016年1月~2月にかけての安値の間に95日の日柄が出来上がってしまっていて、それ以降、95日前後の日柄で安値を付けるパターンできています。11/4安値を起点に、次も同じ安値周期なら3月後半(3月21日‐23日)に到来する見込み。そのパターンであるとしても、個人的には近々にも2万ドルを突破したあとからではないかと考えています。また、調整にも多少振れはあるでしょうけど、トランプラリーで棒立ちした相場が崩れるほどではないと思います。
ただ、2016年以降の上昇後のもみ合い期間をみると、足元のもみ合いは始まったばかりにもみえ、2万ドル超えの結果を求めるほど、今は焦る必要はないような気もします。

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東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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