毎年恒例となりましたお正月の日本経済新聞に掲載される「経営者が選ぶ有望銘柄」ですが、今年の有望銘柄で1位だったのがトヨタ自動車でした。ちなみに、2位は信越化学工業、3位は伊藤忠商事、4位は富士フイルムホールディングス、5位は花王でした。
これらは大型株ですので、TOPIX100(昨年末のデータが取得できないコンコルディアを除く99銘柄)をベースにして順位をみてみると、12月28日現在で上昇率上位に入っていたのは3位の信越化学工業のみ。トヨタ自動車は69位でマイナスの状態となっています。円安加速で年後半に盛り返したイメージがあったのですが、今年の6月安値が2014年4月安値を下回った影響が、ここにきて出てきているような気がします。ちなみに、伊藤忠商事は23位、富士フイルムホールディングスは87位、花王85位でした。
トヨタ自動車に限ったことではないですが、ホンダ83位、日産自動車66位と主力の自動車株がさえません。そういった中でも、いすゞ自動車の15位やスズキの18位が目立ちます。何を意味しているのでしょうか? 新興国の景気が思った以上に好調で、新興国向けに強い企業が来年は有望だよ、と示唆しているようにも思えます。米国ではないのでしょうね。
余談ですが、9位の東芝はつい最近の12月26日時点では輝く1位だったんですよ。
TOPIX100は日経平均と同じように年間を通じて「下に往ってこい」と、かなり大きく変動しましたが、TOPIX100の採用銘柄すべてが同じ動きをしたわけではありません。そこで、2017年に入っていく中、現時点で「高値圏の銘柄は避けたい、でも弱い銘柄も避けたい」といった条件を考慮し、銘柄を検索、絞ってみました。注目したのは、年間の高値と安値の変動率を50%未満と50%以上に分け、50%未満をボラティリティが比較的小さかった銘柄としてチョイス。そして年間騰落率がプラスの銘柄を選択いたしました。この段階では15銘柄がヒットしました。さらに、年間騰落率が1ケタ%の上昇にとどまった希少価値のありそうなのは、以下の9銘柄に絞られました。
その中でも分かれるのは年初来高値をつけた日です。12月の場合はトランプラリーにうまく乗り、直近上昇が強かった銘柄と推測できる一方、それ以外は全体の動きとは一致していない。200日線からのかい離率からみる過熱度合いでもはっきり数値が分かれます。
ということから、2017年の年初に相場全体の反動安がもしあれば、12月高値以外の銘柄は相対的に底堅いことが予想されるほか、買われる可能性もあるということなのかもしれません。1つのアイデアですが、ご参考にしてください。
今年は「相場一点喜怒哀楽」をご愛読いただきありがとうございました。2017年もよろしくお願い申し上げます。
東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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