昨日(15日)から行われている米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ついに利上げ開始の決定が下されるものと見られています。今回は、このFOMCを通過した後の相場の行方を予想するうえで押さえておきたい重要な幾つかのポイントをドル/円、ユーロ/ドル、NYダウ平均の其々について、あらためて確認しておきたいと思います。

まずはドル/円ですが、過去1週間の値動きのなかでは21日、200日、89日を其々計算期間とする移動平均線を次々に下抜ける場面もあり、買い方を少々不安にさせる展開が一時的にも見られることとなりました。今週14日、15日には一目均衡表の日足「雲」下限を一時下抜けるといった場面も見られましたが、両日ともに終値では同水準を下抜けておらず、今のところは日足「雲」下限が一つの下値支持になっているものと見られます。

また、ドル/円の週足チャートを見ると、先週の終値は週足「雲」上限を下抜け、今週も「雲」のなかからのやや弱気なスタートとなりました。とはいえ、いまだ62週移動平均線や長期サポートライン(2012年9月安値と2014年7月安値を結ぶライン)を下抜ける動きとはなっておらず、本欄の11月25日更新分でも述べたように、これらのサポートが今後も機能し続けるかどうかを見定めることは重要なポイントの一つと言えます。

次にユーロ/ドルですが、前回更新分の本欄で触れたように、なおも足下では200日移動平均線(200日線)と89日移動平均線(89日線)が強い上値抵抗として意識されているものと思われます。加えて、上方からのしかかってきている一目均衡表の日足「雲」の抵抗も相当に強いものと思われます。

仮に、ユーロ/ドルが200日線や89日線、日足「雲」といった複数の上値抵抗を明確に上抜ける展開になったとしても、やはり1.1100ドル前後の水準を明確に上抜けることは決して容易ではないものと言えるでしょう。1.1100ドル処というのは中期的な相場の「中心」であり、同水準を明確に上抜けるには相応の材料が必要になるものと思われます。

なお、今回のFOMCで利上げが決定したとして、その後のNYダウ平均をはじめとする米株価指標(指数)の行方からも目を逸らすことはできません。下図を見ても明らかであるように、目下のNYダウ平均は、ともすると「ダブルトップ」という転換保ち合いの弱気パターンを完成しないとも限らない状態にあります。

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仮に、11月16日安値=17,210ドルを明確に割り込んでダブルトップが完成すると、ダブルトップを形成していたときの値幅(最大で767ドル)と同じ値幅を17,210ドルから下方にとった水準が当面の下値目標の一つになるというのがセオリーです。ちなみに、今週14日には一時17,138ドルまで下落する場面もありましたが、終値では17,210ドルを下回っておらず、今のところダブルトップは完成していません。

あらためて上図を見ると、直近安値の17,138ドル付近には75日移動平均線や中期サポートライン(8月24日安値と9月29日安値を結ぶライン)が位置しており、これらが足下でNYダウ平均の下値を支えていることがわかります。よって、これらが今後もサポート役として機能し続けるかどうかに注目することも一つのポイントです。なお、今後再び強気の展開となるかどうかは、まず25日移動平均線を明確に上抜けることが一つの鍵になるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役