日経平均株価の過去6月相場を振り返ると、1996年~2015年までの20年間における騰落は14勝6敗と大幅に勝ち越し。2015年は年間の高値を付けました。
株式市場は売買代金の低迷が続いていますが、裁定取引にともなう買い残が1兆8,000億円程度と低水準であることや、信用買い残も2兆5,000億円程度で安定しています。市場全体が極端に買いに偏ってない状況にあり、売り圧力は強くないことを意味しています。今年に入り4月まで現物株を4兆円程度売り越している海外投資家がイベント(FOMCや英国の国民投票など)通過で動き出せば、日本株の急上昇はありえるでしょう。

株価上昇の背景に欠かせないのは、何といっても米国経済の堅調さと米国株式の上昇です。6月3日は米5月雇用統計が発表され、6月14-15日に開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ判断に重要なポイントとなります。5月の非農業部門雇用者数は16万人程度の増加が予想されています。4月も16万人の増加にとどまりました。雇用者の7割を占める民間サービス業の伸びが低かったためです。今年1月~4月までの平均で19.2万人の増加ペース。5月に23万人以上増えると平均20万人をクリアすることになり、6月の利上げはほぼ確実になってくる。予想の16万人を大幅に上回るケースもそうでしょう。ただ、翌週に英国のEU離脱の賛否を問う投票などがあるため、7月まで待つといった見方も多数存在します。しかし、それ以上に先になると大統領選挙に近くなり、利上げはやりにくい。なので、もしですが、6月見送りが決まった瞬間、市場は7月利上げ決定とばかりに織り込み度合いを急速に強めていく可能性が高く、米長期金利上昇→ドル高・円安→日本株の上昇につながるかもしれません。ただ、米国株式が金利上昇の弱材料をイベント通過の安心感で覆いかぶせ、上昇できるかがカギとなります。

ダウ平均は昨年8月と今年の急落でむしろ上昇トレンドが強化(上値余地が広がる)されたようにみえます。7月までには史上最高値を更新する場面がある(日経平均株価は1万9,000円近くまで)と予想していますが、高値更新後は秋に向けて調整する可能性が高い。だから、ダウ平均に連動する日本の大型株も売買代金が低迷している今の仕込みはいいですが、上昇を確認したあとの投資は高値掴みになってしまうような気がします。ですので、今を見送るなら、9月~10月が次の仕込み場としては良いタイミングになるかもしれません。

さて、これまでの話は横に置いておいて、図表をご覧ください。5月31日の夜エクスプレス(日経CNBC)でお話した内容を詳しく記します。
図表は、ダウ平均(左メモリ)とドル・原油の相関係数(右メモリ)を比較したものです。ドルはドルインデックス、原油はNY原油先物です。相関係数は1 に近いときは2 つの変数は順相関(同じ方向に動く)、−1 に近ければ逆相関(逆の方向に動く)を意味します。本来、ドルと原油は逆相関です。マーケットの気分によってこれだけの振幅が生じるわけですが、順相関は続きません。
2014年夏場以降で続く株価の大きなもみ合い局面では、ドルと原油の順相関(ドル上昇と原油上昇)が1に近づいて反転するタイミングが、株価の転換点になってきたことがわかります。1に近づかなくても順相関のピークアウト時も同じような現象となり、全体的には株価は上昇したケースが多い。足元も1に近づいています。反転するタイミングに近いとすれば、ダウ平均は注目のタイミングとなります。上げに勢いなのか、下げに転じるのでしょうか?

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以下、ドル/円と原油の週足のチャート上のポイントを記します。チャートソフトでご覧になれる方は、週足チャートを見ながら確認してみてください。ただ、チャートソフトの仕様によって高値や安値の表記の数値が異なる場合がありますので、ざっくり感でご認識いただければ幸いです。

ドル/円に関しては、最近は円安・ドル高方向に戻していますが、正念場の水準にきています。2014年終盤からの三尊天井のような値動きを経て、急速に円高が進行しましたが、チャート上での基本的な節目(2014年1月高値105.44円)に到達して反転しました。三尊天井を形成したあとの下値目標値(106.34円)にも概ね近い。そこから111円台まで戻しました。ただ、オシレータ系指標であるRSI(14週)をみると、ボトムから戻し始めてはいるものの、50%(レンジの中間)水準で頭打ちになる可能性もあり注意です。50%を上回ってくる(強気局面に入る)と円安方向への動きがより強くなってくるため、116円程度までは円安・ドル高が続く可能性が高まります。116円というのは三尊天井の形成を確認した際のネックラインといわれる水準です。テクニカル分析の教科書にもよく掲載されている、「ネックラインまでに揺り戻し」ですね。ただ、その後は元のトレンドに戻ることがよくあるため、円高方向に再び強い動きが生じるシナリオは十分あると思います。

原油は一時1バレル=50ドルを付けるまで上昇が続きましたが、ドル/円とは違ってRSI(14週)に過熱感があります。一般的には70%~80%以上が過熱圏といわれますが、5/27現在で85%まで上昇しています。
日柄面では、昨年10月に付けた高値から1月安値までの下げ16週、1月安値から少し間隔をおいた2月安値から今度は上げ16週目が先週です。6月2日開催のOPEC定例総会では増産凍結合意なしを織り込んでいる雰囲気が高いですが、
「第411回 アブラの6月アノマリーは今年もか?」
http://lounge.monex.co.jp/pro/tandcfr/2016/04/28.html
でご案内のように、近年は6月から原油価格は下げるアノマリーがあります。短期的には高値警戒感が強まっている状況だけに、総会後に下落することも考えられます。ただし、です。今回の安値からの戻りは、2013年高値からの調整過程で生じた戻り幅をすべて上回ったため、主のトレンドが上昇に変わった可能性が高く、当面下げたとしても再び上昇すると思います。
長くなりましたが、最後に図表に戻ってください。当面はドル高・原油安、主のトレンドはドル安・原油高といったように、ここから本来の姿である両者間の「逆相関」に向かうストーリーです。

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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