産油国によるドーハ会合は増産凍結で合意に至らずでしたが、原油相場は思った以上に下げませんでした。ドル/円相場も直近安値1ドル=107.63円(2014年10月1日の高値110.09円と2014年10月15日安値105.23円の中値107.66円)フシを守るかたちになりました。米国株式もいい感じできている。短期的な調整はあると思いますが、ダウ平均は昨年付けた史上最高値まであと250ドル程度、S&P500はあと31ポイント程度に迫ってきました。年初からの波乱相場でチャートは一時崩れかけたようにもみえましたが、今になってみれば悪くない。原油安だから株価も下がるだろうではなく、株価が高値更新しそうだから原油を売るのをやめよう、と言うように、株式市場がリスクオンの中心的存在に変わりそうな気がします。

さて、日経平均の動きをチャートで振り返り、今後を予想したいと思います。先週は年初来安値となる2月12日の安値(14,865円)を前に急反発となりました。4月8日のローソク足の「包み足」、11日の「はらみ足」が相場の分岐点を示唆していたようです。12日の「陽線」は上記の分岐点から方向性を示すサインでした。その後は「マド」を空けながら急加速。「マド」というのは、前日のローソク足との間に空間を作ること。上昇のケースでも下落のケースでも、その方向に勢いがあることを意味します。一方、15日に付けた高値(16,928円)は17,000円に届きませんでした。が、ひと押し入れた後、20日には17,000円を一時回復しました。数日間は3月のときのようにモミ合うかもしれませんが、3月14高値(17,291円)を上回ると「二番底」が完成します。そうなると、18,300円~18,900円が視野に入ります。現時点では、「二番底」は確認できていませんので、下振れリスクはまだ残っています。ただ、「二番底」には特徴があり、その特徴が少し現れてきています。それが8日安値からの反発局面で出現した「マド」です。

株式相場に限ったことではないのですが、相場のトレンドが反転する際、反転の前兆となる底固めという動きがほとんどのケースでみられます。代表的なものに「二番底(ダブルボトム)」という底固めのパターンがあります。数多くは出ないですが、「逆三尊底」というものもあります。
「二番底」を大まかに説明しますと、下落相場が続くと売られ過ぎで反発する場面が必ずあります。少し反発したところで戻り高値を付け、そこから再び下げることがよくあります。再び安値を更新すると単なる下落相場の続きなのですが、「二番底」というのは直前の最安値を下回らずに反転し、戻り高値を上抜いていくパターンです。安値を切り上げ、戻り高値を上回ると、高値と安値を切り上げる上昇相場に切り替わったことが確認でき、買いサインと判断できます。「二番底」は上昇相場に入る前の土台作りといったイメージでしょうか。
「二番底」からの特徴は、長い陽線(始値よりも終値の方が高い、白抜きのローソク足)とか、陽線が短くても数日間連続するとか、「マド」をともないながら上昇することが多いのです。指値買いが追いつかないほど、力強く上昇するケースが多い。先週は14日までの3日間で1,100円上昇し、まさに「マド」をともなうものでありました。「二番底」になりうる確度の高い動きがみられたこと、これはチャート分析を専門とする筆者にとっては、かなり興奮する出来事だったのです。
コマツ(6301)や新日鉄住金(5401)など中国関連株の一角は、3月中旬の戻り高値をすでに更新しました。あとは、三井住友FG(8316)や三菱UFJFG(8306)などのメガバンク株が、3月15日に付けた戻り高値を上回り「二番底」が確認できれば、マイナス金利導入後に相場全体の下げを主導した銀行株の上昇が他の大型株にも波及し、市場全体の売買代金も膨らむと思います。
 

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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