あすは経済イベントが盛りだくさんです。東京株式市場が始まる直前には3月調査の日銀短観、取引時間中には中国3月製造業 PMI(政府発表)、財新中国3月製造業 PMI(民間発表)、取引終了後、日本時間夜間に、米3月雇用統計、米3月ISM製造業景況指数の発表があります。
特に、3月調査の日銀短観に注目です。前回の12月調査では「大企業製造業の先行きDI」が9月に比べ大幅に悪化したことで日本株はネガティブに反応しました。今回も12月調査のときと同じように、発表前日(今晩)の欧米株式の動向にもよりますが、悪化が見込まれている「大企業製造業の現状DI」とともに、「大企業製造業の先行きDI」が市場予想に対して、どのような結果になるかどうか? 企業の利益予想に関しても、設備投資計画の下方修正なども含め慎重になると思いますし、悪い結果になればなるほど4月28日の日銀金融政策決定会合での追加緩和の可能性が高まるかもしれません。

追加緩和を過度に織り込んでしまうと、また副作用的なものが心配になるのですが、今回は5月26-27日のG7伊勢志摩サミットを前に経済政策をまとめるということもいわれているので、副作用がダラダラ続くことはないと思います。消費増税を延期するかどうかや経済対策の規模、衆参ダブル選挙の可能性も残っている状況なので、よほど外生的なショックがない限りは、4-6月の株価は何となく強いというイメージを持っています。
2016年度の想定為替レートも今回の日銀短観で初めて公表されます。12月調査で示された2015年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=119.40円(2015年度下期は118.00円)。足元の水準は112円台まで円高が進んでいます。特に今年に入ってからの急速な円高で株価も大幅に調整し、円安メリットがはく落する意味での業績の下方修正はある程度は織り込んだ可能性は高いです。そのため、今回、見直される想定為替レートは実勢レートには追いつかないでしょうけど(依然として実勢レートの方が円高)、両者が大きくかい離していなければ、改めて株価に売り圧力が強まる状況にはならないと思います。
ただ、現在の円高水準が4月いっぱい続くようですと、5月後半からの決算発表シーズンを前に株が売られる局面変化には対応できるようにしておきたいところです。

最後に、図表にある日経平均のチャート分析をしたいと思います。現在は、上昇基調の25日線(16,737円、3/29)と下落基調にある75日線(17,305円、3/29)の間でもみ合いが続いています。下がる力が強い75日線を上抜けるには相当に強い力(材料)が必要ですが、あすのように重要指標が集中するぐらいの日があれば、結果次第では株価動意(75日線突破)のきっかけになると期待してもいいような気はします。
さて、今のもみ合い相場はどの水準が中心になって動いているでしょうか。実は、昨年の9月安値の16,930円なのです。今のもみ合いの期間の高値(17,233円)と安値(16,642円)を足して2で割ると16,937円になりますね。今年の1月21日安値(16,017円)から2月1日高値(17,865円)までの中心も16,941円と近いです。つまり、今年に入ってからの相場は昨年の9月安値に影響を受けているのです。ちなみに、2月後半のもみ合いは、1月21日安値(16,017円)に影響を受けていました。
さて、仮に1月21日安値から2月1日高値の中心が昨年9月安値(16,930円)であったことと同じように、2月12日安値(14,952円)を起点とした上昇でも昨年9月安値が中心になるとすれば、上値余地がまだ十分あることが想定できます。2月12日安値から概ね現在の水準までの倍返しで18,900円処。4-6月までの間の戻りのメドとして注目の水準になるかもしれません。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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