米国のダウ平均とS&P500のチャート上に少し変化がありました。2月22日の取引で、1月29日に付けた戻り高値を更新したことです。これは短期的なトレンドが転換するひとつのサインになりえる動きです。まだまだ戻りは鈍いかもしれませんが、底割れ懸念はひとまず和らいだ可能性が高いといえそうです。

最近、日経平均をベースに、昨年と今年の急落後の動きを比較する記事をみかけます。昨年8月に起きた「人民元ショック」による急落後、底固めをする場面がありました。それと今回の年初からの急落後の動きが似ているというものです。

ここでは米国のS&P500を例に挙げ、昨年の急落局面と今年の急落局面を以下の図表でご説明したいと思います。

昨年は8月安値(1867P)のあとの戻り高値A(1995P)を経て、再び9月に安値を試す動きがありましたが、結局9月安値(1881P)は8月安値を下回らず、戻り高値Aを上回る、いわゆる8月安値と9月安値で形成される「二番底」を形成しました。そして、戻り高値Aから下げた幅の倍返しの水準(2109P)まで上値余地が広がるかたちになりました。

一方、今年に入ってからの急落後の動きは少し異なります。2度目の安値、つまり2月安値(1829P)が1月安値(1859P)を下回っています。これは二番底とは言いません。そのため、同じように戻り高値B(1940P)を上回ったからといって、昨年ほどの強い戻りは短期的には期待できないということになります。当時よりも75日線の下向きの角度も強くなっているので、上値をそこで抑えられるシナリオがあると思います。

短期的な上値メドは1970P前後ではないでしょうか。昨年11月高値(2109P)から2月安値(1829P)までの下げ幅の半値戻しです。そして、2月安値は1月安値を30 P下回りました。逆に、上値では1月高値(1940P)から30 P上回る(一目均衡表のY波動の計算方法)とみた1970Pと同じ水準になるため、重複する重要なフシとして認識しておく必要はあるでしょう。下値メドは1900P前後。1月以降のもみ合いの中心「(1940 P+1859 P)÷2=1899.5P」がそうです。 20160225_DZH_graph_1.jpg

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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