1月7日のマネックス証券オンラインセミナーではお世話になりました。ご質問に対する十分な回答時間が取れなくて反省しております。
次回このような機会がありましたら、最初にお客様からのご質問に答え、そこから話を広げていく方法はありかもしれませんね。

日経平均株価は1月14日の下げで17,000円を割り込んでしまいましたが、最終的にはこの1月相場で、2012年後半の安値を始点とした右肩上がりの長い下値支持線(アベノミクスライン)上を終値で守れるかどうかがポイントとなります。筆者は昨年末、2016年は年前半の4月には23,000円に到達すると予想していました。アベノミクスライン上を維持している以上、2012年以降の上昇基調が続くシナリオは続けるつもりですが、今年の23,000円はかなりハードルが高くなってしまいました。
ここまで下げてしまいますと、立ち直るには時間がかかります。よくても4月~6月ごろまではもみ合い相場の可能性が高くなったのではないでしょうか。ドル円相場や米国株にも同じことがいえると思います。しかし、もみ合い相場は次のステップのためにエネルギーを蓄積する意味合いがあることから、決して悪い動きではありません。

さて、東証一部の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って市場のモメンタムを図るものに、騰落レシオという指標があります。一般的には25日間の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数を使います。先週からいろんなところで話題になっています。騰落レシオ(25日)は一般的には120%以上を株価の過熱圏と判断、70%前後は相場の底値圏と判断します。ただ、実際の相場では、120%以上になってもしばらく株価の上昇が続くことが多く、120%以上になったからといって持ち株を手放すと利益を取り逃がしてしまうこともしばしば。一方、70%前後で底値圏を示し、実際の株価の底入れもほぼ一致することが多いのです。つまり、騰落レシオは過熱圏よりも底値圏で有効に機能する指標です。12日現在で57.8%まで低下し、売られ過ぎどころか、50%台まで低下したのは2012年6月の59%台以来のこと。あまりみたことがない水準で、現在は買いサインを示唆している状況なんです。こういうときは、周りの総悲観に同調せず、新聞やニュースも見ず、底値サインだけを信用する。少し言い過ぎかもしれませんが、「人の行く裏に道あり花の山」なのです。

オンラインセミナーでお話したことでもあるのですが、「第396回 「申酉(さるとり)騒ぐ」の前兆」を振り返ってみてください。日銀による異次元緩和の補完措置の導入が発表された日(12月18日)に形成された「上ヒゲの長い陰線」を中心に、過去と未来が同じ時間を経過するタイミングで重要なことが起きうるということをお話いたしました。12月1日の高値から「上ヒゲの長い陰線(12月18日)」までが「14日間」。「上ヒゲの長い陰線」から将来同じ時間が経過したのが1月12日でした。13日は大幅反発となり、12日安値の確度が高まると思っていましたが、14日は早々に底割れ・・・
ただ、感じるのは筆者の職場の周りの雰囲気です。12日の下落局面では「今日が買い場」と発言する社員が多かったのですが、14日はさらに下げているにもかかわらず、「買い」の言葉すら出てきません。底打ちというのは下げの余韻が数日後に残ることが多く、ダメ押し局面が本当の安値になることも珍しくありません。今週は残すところあす1日のみとなりましたが、少し打診買いをしたいところですね。

相場反転のフォローになりえる外部環境のポイントは、中国懸念や円高の一服、地政学リスクの後退、NY原油先物が1バレル=29ドル台を付けたことで下げ止まるかどうかです。ただ、ここ直近は中国株式に連動性がやや薄れてきたことや、円高も一服?
ここからの日本株の方向性を決めるのはやはり米国市場の動向。当面の注目は米国の主力企業の決算発表(主に2015年10-12月期)です。トムソン・ロイターの予想によると、純利益ベースで4%程度の減益(前年同期比)と、2期連続で減益が見込まれています。昨年後半は米国企業の利益面からみた割高感が株買いを手控える要因となっただけに、1月後半に向けて明らかになっていく業績が想定以上に強ければ、米主要指数の上昇を通じて日本株への下値買いが期待できるでしょう。
あとはこれから発表される米国の景況感です。日経平均株価は昨年9月安値から急速に戻る場面がありましたが、そのときに比べると米国の景気モメンタムが弱い点が気掛かりです。最近発表された12月の雇用統計で非農業部門の雇用者の伸びは市場予想を大幅に上回るサプライズの着地となりましたが、中古住宅販売の落ち込みや、製造業の景況感はドル高と原油安で不調です。米国景気に強弱感が対立している状況にあるわけですが、例年、景気が鈍る年初の景況感が暖冬の影響で予想外に好調な結果となれば、それはそれで株価にとってはサプライズ。ですが、昨年9月安値(16,901円)を明確に割り込むような動きは、米国を中心とした世界の景気減速が今回の下げの背景にあると考えた方がよいかもしれません。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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