個別銘柄の買いと売りの取引を同時に仕掛け、相場下落時でも絶対収益を狙うヘッジファンドの古典的な投資戦略は有名です。2つの投資対象の間で、割安な方を買うと同時に割高な方を売り、その価格差が解消されたところで反対売買をして利益を得る方法です。極めて単純な投資戦略なのですが、割安・割高の組み合わせを選ぶのがなかなか難しく、本来の価値がわからない株式には応用しにくいといわれています。
そこで、年末年始に思いつきやすい単純な投資手法として、上昇トレンドが続いている銘柄と下降トレンドが続いている銘柄のペアを取りあげ、上昇が続いた銘柄を売り、下落が続いた銘柄を買う手法があります。この際、買いと売りの取引を同時に仕掛けるのではなく、どちらか片方でも投資妙味は高そう。いずれにしても、年末までの動きをみて、年始に仕掛けるのではやや遅いような気がします。
お正月は特別な時期です。この期間に投資戦略を練る人も多く(特に負けが続いた投資家は)、年始に同じ行動をとることもしばしば。高い物は売り、安い物を買いたい、という投資の基本的な考えに従おうという人は多い。特に前年に騰落が大きかった銘柄に目が向きやすくなるのは当然でしょう。
東証1部とマザーズの全銘柄を対象(2014年12月30日のデータが取得可能な銘柄のみ)に、2015年のベスト・ワーストパフォーマンスをピックアップしてみました。ただ、単純に騰落が大きいだけでは反動がどれだけ続くか、どの程度の期間続くかは予測できません。同じ上昇率(幅)でも上がり方、同じ下落率(幅)でも下がり方によって、その後の反動の大きさが決まることがあります。
直感的ですが、意外と頼りになる方法は、トレンド上の「陰陽」の数を比較することです。例えば、売りを狙うなら、直前の上昇トレンドの月足は陽線が多い方がよく、「順動陽連(順に切り上がる陽線)」であること。買いを狙うなら、直前の下落トレンドの月足は陰線が多い方がよく、「順動陰連(順に切り下がる陰線)」であればより反転後は強く現れやすい。要するに、中途半端な調整を入れずに一本調子の上昇の方が、そのあとの反動安が大きい。中途半端な戻りを入れずに一本調子の下落の方が、そのあとの反動高が大きく出やすいということです。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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