注目された米国のFOMC(連邦公開市場委員会)では利上げ見送りとなり、株式市場はここまでのところ弱めの反応をしめしています。不安心理を先延ばしにするようなことをなぜ選択したのでしょうか。たぶん、私などには到底理解できないような、FRB(連邦準備制度理事会)内では利上げを見送らざるをえない要因や理屈があったのでしょう。
さて、終わったことはいいとしても、当面は引き続き、米利上げ観測や日銀による追加緩和への思惑などが相場を左右しそうです。日本がシルバーウィーク中の海外市場は軟調でしたが、9月24日の相場は思った以上には下げていません。9月25日の権利取り(主に3月本決算企業の中間配当など)最終日を前にした買い需要が支えになっているような気もします。そして、週明けの9月28日は権利落ち日となります。昨年もこの時期に取り挙げましたが、毎年話題になるのが「配当再投資の買い」です。「配当再投資の買い」とは、年金資金などを配当込みベースで運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うために買いを入れることです。配当金を実際受け取るのは2~3カ月あとになりますので、目減り分相当額を先物買いで埋めておくわけです。3月の最終週などもそうです。
過去9月最終週の信託銀行の先物手口(TOPIX先物のみ)は以下の通り。
- 2010年 1649億円買い越し(9月27日-10月1日)
- 2011年 1992億円買い越し(9月26日-9月30日)
- 2012年 1795億円買い越し(9月24日-9月28日)
- 2013年 1674億円買い越し(9月24日-9月27日)
- 2014年 1768億円買い越し(9月22日-9月26日)
- 2014年 543億円買い越し(9月29日-10月3日)
確かにそうですね。ただ、すべでの運用機関が同じタイミングで買いを入れるというわけではありません。たとえば、権利付き最終日(今年は9月25日)の引けにかけて買いを入れる場合もあるでしょうし、落ち日、落ち日の翌営業日などもあるでしょう。今年の配当落ち分はTOPIX で10.5P程度と見込まれています。9月18日現在のTOPIX(1462.38P)の0.7%になりますので、TOPIXに連動する資産が世の中に 24兆円あるとした場合、1680億円(24兆円×0.7%)程度が目減りする計算になるため、その分が買い需要になります。TOPIX先物ベースで換算すると11,500枚程度の買い需要になりますが、下支え要因ぐらいにはなるでしょうか?(9月24日の前場中に執筆)
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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