米国の住宅市場が堅調です。来週も今週に続き住宅関連指標の発表が続きます。このような堅調な結果は、米国の9月の利上げムードを高める方向に作用するはずなのですが、市場はなかなか気迷いから脱することができず、株式市場も方向感が見出せません。結局、9月上旬の雇用統計の発表や中旬ごろのFOMCまでは利上げにらみで動きづらいのか。一方、金利動向に最も敏感に反応する債券市場では、米10年債利回りの低下基調が続いています。1月末から2月上旬の1.7%割れ水準を起点に、6月高値まで上昇しました。6月高値からの調整(金利低下)が現在も続いていますが、なぜ、足元これだけ利上げ期待が高まるなか、金利は上昇しないのでしょうか?

いろんな議論はありますが、これは単純に、少し早めに利上げを織り込み過ぎた修正、加えて、利上げが始まっても極めて利上げペースが緩やかになる、との見方が広がりつつある部分が反映されているように思います。欧州の金融緩和は来年まで続くでしょうし、米国も利上げをそんなに急ぐ必要はないのか。国際通貨基金(IMF)も世界経済への影響を考え、来年半ばまで利上げ開始を遅らせるように提案しているようです。

あとは商品市況の下落と中国の混乱が挙げられます。中国株式市場の動きがまた怪しくなってきました。8/18の上海総合指数の下げは要注意です。25日線を下回る強い陰線をこのタイミングで出してしまうと、さすがに厳しい見方をしなければいけません。当初は4500P手前ぐらいまでは戻ると思っていましたが、よくて200日線をサポートに三角もち合い、悪いシナリオなら底割れで下値模索です。三角もち合いを形成すること自体、将来の下振れに対し警戒を強める動きなので注意しなければいけません。トレンドの途中にできる三角もち合いは直前のトレンドの方向を継続させる踊り場の意味合いが強いといわれています。なので、中国がまた何かやってくるかもしれませんね。株価の動きがそう暗示しているようにもみえます。ただ、もう一段下げれば、それが当面では最後の下げになるでしょう。

中国株が下げても日米株が同じように下げると考えるのもどうかと思いますが、もし、日本株の今後の投資タイミングを考える上でポイントになるのは、やはり9月にあれば利上げ直後です。個人的に米10年債利回りは、最近2.1%を割り込んだ水準で目先底を形成しました。9月の利上げにほほ同調するようなかたちで、再び上昇し始めるのではないかとみています。タイミング的には中国株も売りが一巡する頃だろうし(全く想像)、アク抜け感と利上げ出尽くしで、米株上昇をきっかけとした世界株高局面が到来するイメージを持ちたいところです。あくまでもメーンシナリオですが・・・

一方、ギリシャの選挙の可能性や、「日本郵政」上場による需給悪、もしかして「USJ」も?とか、安倍首相への支持率低下の風潮なども心配です。いずれにしても、日経平均は基本的には6月から3カ月間もみ合っています。もみ合い局面で蓄積した力はどこかで破裂しますので、年後半は上か下か・・・、波乱含みにも注意が必要です。

 
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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