日経平均はようやく年初来高値更新かと思ったら、人民元の思わぬ伏兵。11日は米国株高を背景に堅調なスタートでしたが、中国人民銀行による人民元切り下げのニュースで市場は一変しました。結局たいした下落幅にはならず、日経平均はチャート上ではしっかり上を向いたまま、たったのですが、それだけではありませんでした。12日も連日で元安方向に基準値を切り下げ、市場を揺さぶりました。改めて「チャイナリスク」に対する市場の過剰反応を認識させられた感じです。

さて、お盆時期(8/13―16)に入りました。日経平均の過去の8月相場で、お盆時期をはさむ前半(7月末-8/16)と後半(8/16―8月末)に分けた場合、この直近6年間では後半が弱含む傾向が強そうです。2009年8月後半は-0.99%、2010年は-4.05%、2011年は-1.67%、2012年は-2.78%、2013年は-1.91%。2014年は0.69%上昇しましたが、前半の下落(-1.94%)の半分も戻せてないので、強いとも言いがたい。
米国でも7日に発表された米7月分の雇用統計は市場予想と大きな差はなく、米国株式市場の9月利上げの織り込み方はやや消化不良となりました。雇用統計の強い結果を確認したかったところなのですが、7月の非農業部門雇用者で市場予想の前月比22.5万人増に対して21.5万人増の着地、失業率は予想と同じ5.3%でした。市場全体に対するインパクトという点では、個人的には利上げよりも米アップル株の下落の方が断然心配なのですが、いずれにしても、これで8月分の雇用統計が発表になる9月4日あたりまでは利上げにらみが続き、米国株式市場も様子見機運が強くなっていきそうです。

今回の中国の行動は、利上げ間近とされる米国をけん制する動きなのかどうかは別にして、米国のFRB(連邦準備制度理事会)はむしろ、9月に利上げをしやすくなったのではないでしょうか。米国が利上げすることで新興国などからの資金流出が懸念されているわけですが、今回の中国サプライズで市場はある程度の混乱に慣れることができるからです。前回も同じようなことをお話したように、米国の9月の利上げは半分程度の確立で市場で織り込まれています。8月下旬~9月上旬から相場に再び強気ムードが出てくるのではないでしょうか。日本株への資金の出し手としては海外投資家になるでしょうし、援護するのは年金資金。「日本郵政」の承認もその頃でしょうから。
ということから判断すると、決算プレイ(決算を材料に短期売買を繰り返す)による個別株の急騰、急落は少なくなるころですし、鉄鋼や機械、非鉄金属、金属製品など相対的に売られ過ぎ感の強いセクターに資金シフトが続きそうです。7月の業種別指数の月間騰落率で下げがきつかったのは、鉄鋼(-7.6%)、機械(-6.7%)、電機(-5.3%)、非鉄金属(-4.5%)、金属製品(-3.8%)でした。しばらくは「幕間つなぎ」で退屈な相場ということなのでしょう。
最後に、超目先的な動きでいいますと、日経平均の変化日としては来週17~18日に注目です。直近高値からの下落がそのタイミングで止まる可能性が高いかもです。日程的にいくと17日に発表される国内4―6月期GDPなどがきっかけになるのかもしれません。市場予想はマイナス成長とみていますが、予想以上であれば好感されるでしょうし、悪化した場合でも追加金融緩和期待が強まり反発する展開とみています。
 
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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