米国では企業決算がピークを通過し、株式市場の焦点は景気動向に移ります。市場全体に対するインパクトという点では、エネルギー関連株の下げやアップル株の下落も心配ですが、目先は8月7日発表の米7月分の雇用統計の結果に市場がどう反応するかに注目です。先週発表された雇用コスト指数(イエレンFRB議長が重要視する指標)が伸び悩んだ結果となっただけに、9月利上げをにらみながら、7月分、8月分の雇用統計は要注目です。7月の非農業部門雇用者は前月比22.5万人増、失業率は5.3%と予想されています。
予想を上回れば早期利上げ観測が高まり、米国株は下落。下回れば早期利上げ観測が和らぎ、米国株は上昇。果たして、このように最近と同じ反応を示すでしょうか?

ただ、年内1回の利上げ、9月の利上げ説は相当市場に浸透しています。予想を上回る結果になっても、そろそろ逆の反応を示しだす可能性が高い。つまり、早期利上げ観測の高まりは米国株の上昇、早期利上げ観測が和らげば景気停滞感で失望売りの可能性も。7月分の発表直後ではないにしても、9月利上げ前には反応が逆転するタイミングが来るでしょう。実際に9月利上げが実施されたとして、市場はそこから何を織り込もうとするのでしょうか。むしろ1回ぐらいは許してやろうというように、利上げ後の材料出尽しを見越して、どこかで買いが入ってくるのではないかと思っています。

一方、東京市場は中国を中心としたアジアの景気減速懸念を背景に、自動車株や商社株などの外需が弱く、相場の足を引っ張る構図は続くだろうと思います。片方では、証券株や銀行株、不動産株や建設株に再動意の期待が強まってきており、足元で好調に推移する小売株やディフェンシブ株に変わり、出遅れ内需株という位置づけで資金シフトが予想されます。特に、銀行株は足元の高配当銘柄物色の流れから説得力のある存在です。日本郵政の上場に向け比較対象にもなりやすいので、年内のどこかでこじつけであっても、材料視されることはあるでしょう。

あとは、米国のアップル株の下落につれて、軟調な値がさハイテク株の下げをどうみるか。以前、ご案内しました通り、値がさ株から低位株に移っていく現象面でのヒントになっているような気がします。例えば、村田製作所(6981)や日東電工(6988)、アルプス電気(6770)なども含めた値がさ株に代わり、電機セクターの低位株とか。別に電機セクターに限ったわけではないですが、日経平均が2万円を超えた今からでも、儲けるコツは意外と単純なのかもしれません。ちなみに、東証一部の電機セクターで8月5日現在、500円以下の銘柄は37銘柄あります。なかでも、過去の長期的な推移から値ごろ感がありそうで、月足の一目均衡表で基準線を上回っている主なものを紹介するとすれば、明電舎(6508)、日本無線(6751)、NEC(6701)、サクサHD(6675)、OKI(6703)、帝国通信工業(6763)などがそうです。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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