日経平均はITバブル時に付けた高値(2万 833円)を上回りました。昔風にいうと、「IT相場以降、塩付けになっていた株券がひと回転効いてくる」ということ。上げ相場もいよいよ加速の局面か?
一方、これから夏枯れ相場(市場が低迷し売買高が減少する傾向)が到来します。歴史が示すように、やはり夏場は売買高が減少する傾向があります。例えば、東証一部の売買代金を2000年~2014年までの15年間のデータを使い、各月一日あたりの平均売買代金をみると、1月~6月までの1兆6000億円に対して、7月~8月は1兆3900億円程度まで落ち込む傾向があります。絶対水準だけをみると大した減りではないですが、一般的には売買高が増えるときは株高傾向だし、売買高が減少すれば株価は低迷します。
特に今年は注目度が高い「株主総会」が集中する週に高値を更新しました。企業のガバナンス意識の向上は日本人が思っている以上に海外投資家からの評価が高いようですが、株主総会の後、海外投資家がどんな行動をとってくるかが需給面での相場のポイントです。
思い起こせば、2013年末にかけては、証券優遇税制の廃止による駆け込み売りが増える代わりに、翌年開始のNISA(少額投資非課税制度)対応で、国内の個人の買いがかなり盛り上がり、株価上昇に拍車をかけるかたちとなりました。しかしながら残念なことに、2014年に入ったとたん、海外投資家の売りが出て相場は下落しました。株主総会を境に急に下落に転じることはないと思いますが、海外投資家が夏休みをとる前には、利益を確保する考えはありだと思います。
マザーズ市場の2004年~2014年までの11年間の売買代金を調べると、東証一部とは違い、6月に増加する傾向があり、7月も年間のなかでは比較的高水準を維持することが多いようです。今年は6月22日現在、6月の一日あたりの平均売買代金が1000億円(6月の11年平均では600億円程度)まで増加してきており、出来高が株価に先行している可能性が高い。もしかすると、プチ小型株バブル相場の始まりのような局面とみています。
当然ながら、マザーズ市場もアベノミクス相場の恩恵を享受したわけですが、2013年5月以降は調整が続いています。一方、チャートの話で恐縮ですが、東証マザーズ指数は2013年5月高値を起点に、2014年1月高値を通る上値抵抗ラインのフシをようやく上抜け、買いサインが点灯したところです。それは2年間続いた三角もち合いの上辺を上抜けたことを意味し、これから再び上昇相場が始まる可能性が高いと思われます。
小型株物色の季節到来に加え、売買高の増加とチャートのフシ突破。こんなみえ過ぎた買いサインどおりに、相場の神様が動いてくれるとは思っていませんが・・・、ざっくりいまから3割高を目指すでしょう。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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