日経平均は5/27に9連騰を記録。IT相場の大天井となった2000年4月高値(2万833円)が射程圏に入ったといえます。過去6月相場を簡単に振り返ると、1996~2014年までの19年間において、日経平均の騰落状況は14勝5敗と大幅に勝ち越し。直近10年では7勝3敗。2001年以降の動向では、2003~2007年、2014年は月初から堅調に推移しましたが、2001~2002年、2008年、2010年、2012年~2013年は月初から下値模索の展開と両極端な動き。両者の分岐点となったのは5月下旬の動きです。前者は下旬が堅調な推移をみせ、6月の上昇相場の足掛かりとなりましたが、後者は下旬の失速が響き6月もそのまま低迷した経緯があります。今年に関しては、5月末にかけて上昇を続けているために、月初も上昇パターンに該当するかもしれません。

第350回「株、60年前は誰が買った?」でご案内させていただきましたが、今年の干支は「乙未(きのとひつじ)」。ご存知の通り、十干は10年周期、十二支は12年周期です。両者は2年ずれるので、両者が一致するのは60年ごと。いわゆる「還暦」といわれ、同じような出来事が起きやすいといわれています。わかりやすいところですと、世界大恐慌があった1929年から60年経過して発生した日本のバブル崩壊など。今年と同じ「乙未」は60年前の1955年となります。
当時はデフレ不況を背景に相場は低迷する一方、海外の好景気を背景に輸出が伸長。日銀による金融緩和でも民間企業の需要が乏しく、金融機関が株を買い始めたことが結果的には相場低迷から抜け出すきっかけになったようです。
さて、5/28付けの日経新聞朝刊に興味深い記事が掲載されていました。株式市場に「6頭目のクジラ」が活躍するとの思惑が海外投資家に広がっている、ようだとか。要するに、銀行が保有する政策保有株(持ち合い株)を売却し、売却資金で自社株買いをすればどうなるか? その受け皿となりえる銀行等保有株式取得機構は2009年の事業再開後の買い取り上限20兆円に対し、実際の買い取り額は約1兆円にとどまっている、などなど。細かい話はいいのですが、銀行が新規に株を買い始めるひとつのヒントが出るべくして出てきた、そんな気がします。筆者は年初の単なる妄想だと割り切っていましたが、やはり60年前と似たり寄ったりかもしれませんね。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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