日経平均は再び2万円台に乗せました。少し前に波乱要因となった海外の長期金利の上昇がひとまず止まったことや、ギリシャ問題を抱える欧州の株価に下げ止まる兆しが出てきたことが、買い安心感を誘う流れとなっています。さらには、米国のダウ平均やS&P500が史上最高値を更新したことが後押しするかたちとなり、日経平均は直近高値から下げる過程で形成したマド(連続したローソク足の間に空間ができること)を埋め戻し、これまでの上昇トレンドはやっぱり続いている、と確認できる段階に入りました。マドを埋めたあとに達成感から下げることもあるのですが、東証一部の全体をカバーするTOPIX(東証株価指数)が年初来高値を更新しましたし、新興市場の東証二部指数、日経ジャスダック、マザーズ指数ともに堅調に推移しています。「Sell in May, and go away(5月に株を売り、相場から離れろ!)」の格言通り、日経平均は2万円に届かず下がると見越して、カラ売りをしていた投資家の買い戻しなども期待でき、短期的には相場を押し上げる可能性が高い。ただ、その買い戻しが一巡したあとは、どんな材料が相場を動かすことになるか、そこは冷静に判断する必要があります。というのも、今の株価上昇は何となく疑心暗鬼が残っており、出来高の増加もなく勢いはいまひとつだからです。

5月19日付けの日経新聞によると、上場主要企業の15年3月期は4.2%増収、5.9%経常増益(連結)となり、経常利益はリーマン・ショック前の08年3月期の最高益を上回ったそうです。円安と北米販売が好調だった自動車や電機の好調がけん引しました。今期も8.7%増益と2期連続で過去最高を更新する見込みです。特に、製造業は、13%増益と非製造業の1.4%増益に比べると増益率が高まる予想ですが、前期けん引した自動車や電機は減速する見通し。幅広い業種に波及効果が高い自動車が減速すれば、製造業全体の下方修正リスクはありますし、ここから円高が強まれば、製造業がけん引する構図はあやうい、ということになります。結局、良いと見込む製造業が悪くなって、微増益予想の非製造業が良くなる逆転現象が起きるような気がします。なので、今後の相場展開では押し目があったら買えるのは内需株の方ではないかと。

新興市場を中心とした中小型株にしても、アナリストの評価が元々付いてないものが多く、大型株に比べて業績への期待値が大きくなかった分だけ今でも割安に放置されているものが多い。かといって、大型株が動かない上昇相場はあり得ない、ということで、メガバンク株の逆襲が始まる(始まった?)とみています。トヨタ自動車の株価は11年11月安値から3.7倍程度、村田製作所は12年8月安値から5.5倍程度になりました。株主還元でにぎわう三菱UFJFGは11年11月安値から2.8倍程度に過ぎません。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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