日経平均の5月相場は直近5年間でみると1勝4敗と、下げる月として市場参加者に知られています。2012年までは3年連続でゴールデンウィーク明けに急落。2013年は5月後半から急落(バーナンキ・ショック)し、6月安値まで3,180円程度の下げに見舞われました。2010年に至っては、欧州ソブリンリスクに端を発する金融不安に加え、中国の金融引き締め観測や朝鮮半島問題の緊迫化、ドイツの空売り規制などで下げに拍車がかかり、月間下落率は11.7%とリーマン・ショック直後の2008年10月(23.8%)以来の大きさを記録しました。
もっとも、2010年と2012年は3月まで上昇、2013年は4月まで上昇していたのでその反動、といえばそれまでなのですが、今年も同様にここまで順調です。ただ、2010年以降で違うのは2007年高値18,300円をすでに上回っていること。つまり、ほぼ「青天井」に近いのです。
「Sell in May, and go away(5月に株を売り、相場から離れろ!)」などを気にしていると、上げ相場に乗り遅れてしまう!と考えるのか。ただそうはいっても、バブル相場を知らない40歳代後半以下の今時のトレーダーやファンドマネージャーの立場からすると、ゴールデンウィーク(GW)前には、5月の下落リスクに備えたい、といった気持ちもあるでしょう。

さて、来週は日銀の金融政策決定会合があります。東京市場は銀行を筆頭に証券やノンバンク株などの金融株が急速に動意付いています。なぜか、「追加緩和が実施されると見越した買いが金融株の上昇につながっている」という解説が多く聞こえてきますが、さらには「一方で、黒田総裁はサプライズを狙うため(市場の意表をつくため)に、緩和期待がここまで市場に浸透してしまうと追加緩和はやらないだろう」といったコメントが続きます。市場参加者の大半もそう思っているでしょう。そんな状況にあることを逆手に、実際に追加緩和があったらどうでしょう。それこそ、第二弾の「サプライズ緩和」です。裏をかくのが好きな人は、「裏の裏をかく」ということもきっと大好きしょうから。
いずれにしても、米1-3月期GDPの発表、ゴールデンウィーク明けの5/8には米4月雇用統計の発表など相場を動かす重要イベントが多く控えており、GW明けの5月前半はいろんな意味でボラティリティが高まる公算大ですね。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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