米国企業の1-3月期の決算発表が本格化しました。米国では3月の雇用統計で雇用者が予想以上に増加しなかったことで、景気の悪化懸念が強まった局面にあります。そこに輪をかけて、さえない決算が続けば、米国株の上値を抑える要因になるでしょうし、東京市場でも輸出株の株価に悪影響を及ぼしかねません。米国企業の1-3月期の純利益は前年同期比で2%程度の減益(S&P500社ベース)が見込まれていますが、それほどでもないといった見方が広がれば株価上昇につながるでしょうし、減益幅が広がる会社側のアナウンスが続けば株価下落は覚悟でしょう。今の米国株は欧州株や日本株など世界的な株高に支えられているような気がします。ただ、世界における時価総額シェアが断トツに大きい米国市場が本格的に下げ始めた時のリスクは大きいです。
いずれにしても、米決算は出遅れ感のある米国株が高値を更新できるかのカギとなる材料であり、世界の市場関係者が注目しています。

一方、日本株にとって短期的なリスクは中国株です。ギリシャの債務問題やウクライナ情勢の再発などに目が向きやすいですが、それはすでに経験しているリスクなので、次に混乱が起きても市場は冷静に判断するはず。むしろリスクを認識しつつも、まだ大丈夫だと思っている中国株に対するリスクの方が日本株にとって大きいかもしれません。
中国は再び株式ブームに沸いています。株価上昇もさることながら出来高も高水準を維持。中国政府による政策支援や、金融緩和への期待感からくる大量の買い物が相場を押し上げているようです。ただ、なんとなく筆者にはアベノミクスを背景に株価が大化けした日本に対抗し、景気減速を抑えるために人的に株価操作をしているような気がしてなりません。不動産バブル崩壊はすでに起きていると思っていますが、最近の貿易収支などの景気指標をみる限りでは明らかに景気は減速しているようです。足元は株価が大幅に上昇しているため、そのリスクがあからさまに露出することはないでしょうけど、問題は株高による資産効果が剥げ落ちたときです。
中国株(上海総合指数)が下げると欧米株は下げないでしょうけど、いちばん上がった日本株だけが下げるような気がします。

原油価格は底打ちに近い状況です。4月の底入れを確認したあとは、1バレル70~75ドル(NY先物原油)あたりまで急反発するのではないでしょうか。その後も上げ下げを繰り返しながら年内は上昇基調が続くとみています。ドル円相場はもう一段の円安があったとしても、かつてのように円安→日本株高になるかどうかは不透明です。ドル高により米企業業績が圧迫される可能性はありますし、日本株への海外資金の流入も止まってしまう可能性があるからです(海外投資家が日本株に投資する際、円安はあまりよくない)。 弱気の話ばかりしていますが、実は筆者は基本的には根っからの強気派。半年程度の見方としてこれを読んでください。日経平均が3万円を目指すのは1万8300円まで調整したあとではないでしょうか。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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