日経平均株価が15年ぶりの高値を回復するなど、今の強気相場をみていると、すぐに下落が始まるとは到底思えません。しかし、筆者が当初から目先の天井になると予想していた、18,800円~19,500円水準に入ってきました。予定通り、そろそろ弱気に転じるべきか? それとも強気ムードに流され、さらなる上昇を見込んだ方がよいのでしょうか?

ポイントは3月16日~17日の日銀金融決定会合、3月17日~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)です。そこで気にしなければいけないのは、債券市場と為替市場の動向です。日経平均はすでに2007年の高値を上回り、中期的には安定軌道に入った見方ができますので、あとは円安=株高、円高=株安という、円相場と株価の連動性が続くかがカギとなります。というのも、アベノミックス相場では円安・株高が一気に進み、円安メリットがある輸出企業の株価も大きく上昇しました。しかし、3月6日、米国の2月雇用統計が発表され、予想を上回る結果に金利が上昇、ドル買い・円売りが進み、ドル/円は1ドル=121円台まで円安が進みました。しかし、自動車株の株価が思った以上に上昇しません。

10日付の日経新聞の中で、ある記事がとても印象的でした。米住宅市場の研究の第一人者であるロバート・シラー教授のコメントです。「米住宅市場は10年前は年間の値上がり期待があったため、当時6%の金利でも利ざやは十分にあったと。でも、現在は値上がり期待とローン金利が同じ水準なので、いまひとつ盛り上がらない。」その理由のひとつに、家を買う若者が減ったという構造的な要因を挙げていましたが、ここに金利上昇が加わったら、個人消費の比重が高い米国景気には負担です。金利が上がれば、車も今より売れなくなるかもしれません。だから、株式市場は金利の動向にすごく敏感です。そのあたりが日本の自動車メーカーの株価の重荷になっているのです。

米国の利上げの実施時期に加え、その利上げが早まるだろう、と先走って米国の長期金利が急上昇し、米国の株式が大幅に下げることが、この先の最も大きなリスクです。そんなリスクを呼ぶ金利上昇に、ドル買い・円売りが強まることはないでしょう、逆に円高・ドル安によるリスク回避に移っていく、そんな答えが出てくるような気がしています。

最後に簡単な株式市場の周期の話をして、終わりにします。米国市場でIT相場が崩壊し、ダウ平均は2002年10月と2003年3月に安値を付けるわけですが、そこから金融危機直後の2009年3月安値までは73カ月~78カ月を要しました。2009年3月安値から同じ期間を当てはめると今年の「3月と8月」になります。何かあると思った方がいい。

日経平均の特性のひとつ、クセといってもいいかもしれませんが、高値から高値までが83カ月前後になる、ある底値から83カ月目が高値になる、というように、83カ月前後で高値か安値を付ける周期性を持っています。1996年6月高値から2003年4月の底値までがそうでした。 
例えば、バブル崩壊後の最安値から83カ月目は8月(ダウと同じ)になります。ただ、今の調子からいって、8月まで上昇が続くよりも、その前に天井があって8月まで下落する方がありえそうな動きです。その前に付けるべく天井は? 2008年6月の高値からでみると、ちょうど83カ月目が来月の4月です。足元はその前後に入っていますから、やはり、そろそろ弱気に転じるべきなのかもしれません。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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