日経平均はついに2007年の高値18,261円を上回りました。2007年といえば、自動車メーカーを中心に、輸出企業が新興国の好景気に恩恵を受けたときの高値です。では、なぜその時の高値を上回ると、そんなに大騒ぎするのでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが、日経平均は、そのあと、「ハンパない」大幅な調整を強いられたのです。米国の住宅バブル崩壊が発端でした。なかでも2008年の「リーマンショック」によって、金融機関やヘッジファンドが破綻、世界は金融危機に陥り、景気も大きく悪化しました。日経平均は1万円を割るどころか、2009年には2007年の高値の半値以下である7,054円まで下落し、平成バブル崩壊後の安値を付けることになるのですが、日本・米国・欧州の中央銀行が協調して大規模な資金供給をしたことで市場が安定し、危機が一段と拡大することは回避されました。米国に比べれば、日本や欧州はその後遺症もあって、いまだに緩和策を継続しているわけですが、それでも株価が2007年の高値を上回ったことは、危機を完全に克服したことを意味します。つまり、ここからが日本株の真の実力相場です。一方、米国株というと、2007年の高値を取り戻したのは随分と前で、今年の夏には金利を引き締めようとしています。日本は金利を引き上げられるほど景気はまだ強くないわけですが、世界的に大転換期にあることを強く感じます。

とにかく、「リーマンショック越え」は私の専門であるテクニカル面からみても重要な出来事です。では、今後の日経平均をどう予測したらいいのでしょうか。簡単に解説したいと思います。
日経平均の最高値は、平成バブル時で38,915円(1989年)です。1996年以降は、株価が上昇したときでも、結局は山(高値)の高さがだんだんと低くなるように、「ひとつ前の高値」を上回れない(1996年の22,666円→2000年の20,833円→2007年の18,261円)展開が続いてきたのです。しかし、今回の上昇ではついに上回りました。これこそが、下落から上昇相場に変わった「大きなサイン」になりえるというわけです。

もう1つ付け加えると、1989年のバブル高値から大きく下げたあと、1990年代後半にかけて、日経平均は一定の水準をいったりきたりする「モミ合い相場」を続けました。そのモミ合い相場の中心の値が、ざっくりといえば18,500円水準で、当時は居心地のよい水準でした。2007年のときは、単にその水準を越えられなかったわけですが、今度は18,500円を超えました。

ここからテクニカル面で言えることの一つは、「倍返し」という考え方です。人気ドラマのフレーズをもってきたわけではなく、ちゃんと昔からある考え方です。

どういうことでしょうか? 株価は1990年代後半の18,500円から下がってきて、2009年の最安値約7,000円まで落ちました。11,500円もの下落です。しかし、その後株価は7,000円から18,500円まで11,500円上げ、1990年代後半の水準にまで戻りました。「よくも11,500円も下げさせてくれたな、下げた分の倍返しだ!」というわけです。

ということで、下げた分の「倍返し」とみれば、18,500円+11,500円=3万円ぴったりの計算になります。ほとんどの方は「2万円もいっていないのに、何を言っているんだ!」と言うかもしれませんが、私は2020年の東京オリンピック開催までのどこかの時点で付ける「一つの目標」としてもよいのではないかと思っています。もちろん絶対に、というわけではありませんし、目先の上値の目安は18,800円、その次が19,500円とみています。

一方、225銘柄で構成される日経平均と同じく、東京市場を代表する指数にTOPIX(東証株価指数)があります。東証1部の全銘柄の時価総額の動きを指数にしたもので、2月24日現在では1,508ポイントです。実は、現在のTOPIXは、2007年の高値よりも、まだかなり低い水準にあります。日経平均が上昇するのが早すぎるのか、TOPIXが出遅れているのかは議論が分かれるところですが、今後注意しなくてはならないのは、TOPIXが2007年の高値を超えられない場合、「225銘柄だけが高くても、日本全体は強いとはいえない」という判断になり、いずれ日本株全体の弱気サイン(=下落しやすくなる)になる、ということです。

目先はどんなことに注意すべきでしょうか。日米ともに景気回復期待などから、長期金利がゆっくりと上がり出しています。むしろ、警戒しなければいけないのは、米国の利上げの実施時期に加え、その利上げが早まるだろう、と先走って金利が急上昇し、株価がそれを嫌気し大幅に下げることです。金利の低下はコントロールできても、ここまで積み上がった「債券買い」の「逆」(この場合、金利は上昇)が起きたときには、コントロール不能になりかねないので、この点には注意が必要でしょう。

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東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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