テロへの警戒、原油安、ギリシャ総選挙の結果など、現在の世界を取り巻く懸念材料を挙げたらきりがありません。米国の景気減速懸念も少し浮上してきたところですし、ギリシャを発端とした欧州の政情リスクなどへの心配は当面拭えないでしょう。スイスショックなどもあり、市場センチメントは完全に好転したとは言い難いでしょう。
一方、日経平均は25日線(17,259円、1/21現在)を回復。自律反発を見込む投資家が増えてきたようです。売り方の買い戻しに過ぎないという冷めた見方もありますが、相場の転換点ではいつもそう、実需買いだけで「天底」を形成することなどは、稀なのです。
そもそも、テクニカルアナリストの筆者の感覚からいくと、ドイツのDAX指数の連日の史上来高値更新は、欧州リスクが短期的に落ち着くサインのように感じます。米国では予想を下回る経済データが少し出てきたようですが、株を慌てて売るほどのものではないし、ダウ平均は史上最高値からたった3%程度下落した水準に過ぎません。
日本株全体を見通すと、波乱相場の中でも、トヨタ自動車(7203)の株価の動きに勇気付けられます。少し専門的になりますが、12/8に付けた高値(7873円)から調整は続いており、チャート用語で有名な「三角もち合い」を描いていることがポイントです。「三角もち合い」は、それまでのトレンドがその後も続く可能性が高いことを示唆する株価パターンです。時価総額で断トツ首位の株価がそんな状況にありますから、日本株への期待値を低下させる必要はないわけです。時価総額が世界中の中で群を抜く米国市場が落ち着いてさえいれば、高値トライは時間の問題。この2週間ほどが重要です。
週末には中国1月HSBC製造業PMI(1/23)、来週のFOMC(1/27~28)や米10-12月期GDP(1/30)などを無難に消化しながら、国内の決算発表を通じて主力株買いのムードが盛り上がるかどうか、年初の資金流入が後ずれしている可能性もあるだけに注目すべき局面です。日経平均の基調が変わりやすい日は、昨年10/17安値~12/8高値までの日柄「35日」を先にあてはめた1/30~2/4、2/10前後があります。
最後に【お知らせ】です。私が所属しているNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会ではこのたび「テクニカル分析」の普及活動の一環として、「テクニカル分析」ハンドブック(基礎編)を発刊しました。チャートに興味を持っていただくための入門書で、簡単に分かりやすく解説した小冊子です。ご興味のある方には無料配布させていただきますので、是非お申し込みください。 宛先:office@ntaa.or.jp
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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