3月本決算企業の中間配当に伴う権利落ち日があすに迫りました。この時期になると毎年話題になるのが「配当再投資の買い」です。「配当再投資の買い」とは、年金資金などを配当込みベースで運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うために買いを入れることです。配当金を実際受け取るのは2~3カ月あとになりますので、目減り分相当額を先物買いで埋めておくわけです。3月の最終週などもそうです。

過去9月最終週の信託銀行の先物手口(TOPIX先物のみ)は以下の通り。

2010年 1649億円買い越し(9/27-10/1)

2011年 1992億円買い越し(9/26-9/30)

2012年 1795億円買い越し(9/24-9/28)

2013年 1674億円買い越し(9/24-9/27)

すべでの運用機関が同じタイミングで買いを入れるというわけではないですが、たとえば、権利付き最終日(今年は9/25)の引けにかけて買いを入れる場合もあるでしょうし、落ち日、落ち日の翌営業日などもあるでしょう。今年の配当落ち分はTOPIX で9.5P程度と見込まれています。9/24現在のTOPIX(1326.18P)の0.7%になりますので、TOPIXに連動する資産が世の中に 22兆円程度あるとした場合、1540億円(22兆円×0.7%)程度が目減りする計算になるため、その分が買い需要になります。TOPIX先物ベースで換算すると11,500枚程度の買い需要になります。
もっとも、下落局面では一時的な下支え要因になるでしょうけど、買い越しだからといって株価上昇につながるとは限りません。一方、今のように高値更新後の上昇トレンドフォローのような環境では、結構なインパクトになると考えてもよさそうです。

ヘッドラインのニュースや外部環境など、いろんな売買の判断材料はありますが、3月・9月末近くの需給イベントを押さえておくと、そのときの相場環境と合わせ複合的な相場戦略を立てることができるかもしれません。ただ、短期トレーダーには関係してくるでしょうけど長期の投資家には単なるきやすめ程度にしかなりませんし、買い需要が発生してもそれ以上の売り需要があれば株価は上昇しませんので、結局、相場次第ということなのでしょう。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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