日経平均は果たして5月の高値15,942円を上回ることができるのでしょうか。最近の動きをみていると、かなり不安になります。ただ、短期的な動きを一日中みていると弱々しい感じはしますが、6月安値12,415円よりもまだ高い位置にあるので、底堅いといえばそうでしょう。当面は、5/23高値を起点に7/19高値を通る上値抵抗線と、4/2安値を起点に6月安値付近を通る下値支持線とで三角もち合いがイメージできます。足元は下値支持線にほぼ到達しており、次は上値抵抗線に向けて反転上昇が期待できそうですね。

8月下旬~9月上旬ごろに両線が収れんし、一目均衡表では抵抗帯(雲)を構成する先行スパンにネジレや急変が生じます。オリンピックの開催地決定付近である点などは興味深いところです。

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あと、チャート上で見逃してはいけないのが、7/19高値からの小さな下降ウェッジ型の動きです。高値を切り下げ、安値も切り下げながら、次第にレンジが小さくなる値動きです。場合によっては、レンジの逆方向に強く放れていく可能性の高いパターンでもあります。

1964年に開催された東京オリンピックの年に生まれた方は、もう50歳近い年齢です。そのときに株式投資をされていた中年層の方は、現在は引退されています。つまり、今の株式市場で売買している投資家は誰もオリンピック相場を知らないわけですから、これから未知の世界に入っていくわけです。

日経平均が2007年高値18,261円を上回れば、バブル崩壊後の下落過程で初めて戻り高値を上回る歴史的な転換を果たします。上昇が期待できる個別株はズバリ、バブル崩壊後に日経平均と同じように低迷期が続いた内需系の株です。買い方が長い間で持ち株を売り切ったことで、少しの買いで上昇しやすくなっているはずなのです。

建設株以外でバブル期に高値を付けた業種には、三菱UFJフィナンシャルグループなどのメガバンクをはじめとする銀行株、東急電鉄や京成電鉄などの電鉄株が挙げられます。また、造船株では川崎重工業や三菱重工業、IHIなどが該当します。繊維では旭化成などもあります。今年に入って特徴的な値動きをしているのは三菱マテリアルで、日本株が大幅調整に見舞われた5月以降も上昇を続けています。

こうした銘柄に共通するのは、バブル崩壊後の長い低迷期のなかでも、企業再編せずに単独で生き残ってきた企業ばかりである点。すでに十分なリストラを終え、次なる成長への地力を蓄えている状態とみることができます。一方、グローバル化や日本の少子高齢化に伴って、今後はあらゆる業種・業態で再編は避けられません。さらなる成長・企業価値の向上を株価は織り込みにいくのかもしれませんね。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ