最近、NT倍率(日経平均÷TOPIX)の縮小基調が続いています。NT倍率は日経平均がTOPIXに対して優位に上昇すると拡大、TOPIXの方が優位に上昇すると縮小しやすい。逆に、日経平均がTOPIXに対し先導して下落するとNT倍率は縮小、TOPIXの方が先導して下落すると拡大しやすい。と、両者の動きによって変わるのが基本的な理屈です。
2010年以降のNT倍率と日経平均の推移を比べてみると、日経平均の昨年7月の戻り高値以降の下落局面(左側の薄緑)ではNT倍率はほぼ横ばい、今年3月高値からの下落局面(右側の薄緑)では逆にNT倍率は上昇しました。両局面ともに株価が大幅に下げる中でNT倍率が低下しなかったわけですから、大型株の動きに影響を受けやすいTOPIXが先導して下げたことになります。震災以降、大型株は相当売られています。
そして注目は、NT倍率が2010年12月の11.6倍から低下する局面です。株価は逆に上昇したわけですが、この間、大型株の「コア30銘柄」に限り上昇率をみると、銀行や保険といった金融セクターが上位を独占していました。
仮に足元、株価の上昇が続く過程(大型株の下げた反動)で、NT倍率が低下していくと仮説を立てた場合、大型株では金融セクターが優位になる、とみることができると思います。最近のトヨタと三井住友FGの動きの違いをみると明らかです。
逆発想して外部環境を考えると、欧州情勢や米中の景気指標はある程度改善しても、円安基調が明確(輸出主導)になるには、まだ時間がかかるということなのかもしれません。
金融株、特にメガバンクは下降ウェッジ型(長期底値圏の兆候となる株価パターン)を2 月に上放れ、3月高値から大きく下げました。しかし、重要なポイントから再び反発してきています。メガバンクは3月高値を超えると二番底となり、大きな相場展開も見えてくるのではないでしょうか。
邦銀の足元の堅調ぶりの背景には、世界的に見る金融機関の中での邦銀の優位性を評価して、ファンドあたりが拾っているような気がします。まあ、あくまでも感覚や憶測に過ぎませんが・・・・。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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