2012年5月23日の東証の空売り比率は31%、東証一部の騰落レシオは67.1%、PBRは0.89倍。それでも株は上がらない。23日の予想PERに関しては11倍台って、まるで米国市場を見ているよう。心理的不安の影響というのは大きいですね。

ただ、2012年5月23日、日銀による金融政策が現状維持と伝わったあと、円高は進みましたが、株(日経225先物)の方はむしろ反応は鈍く、8,600円から結局8,530円まで下げましたけど、失望というほど急速な動きにはなりませんでした(私の印象)。

CTA(商品投資顧問)などの売りが続いているといった見方もありますが、売り仕掛けでもこれだけ追随する売りが出てこなければ、逆に下げない警戒感も意識するところでしょう。2012年5月24日も8,490円の瞬間安値から急速に戻った動きは変だなと感じました。

さて、フェイスブック(FB)が新規上場しました。人気株ゆえに上場前の段階で買い気が出きってしまったようです。ですが、ここ最近の米国市場では大型上場前後にミニ転機が訪れる経験則があります。さすがに欧州危機による影響を受けて、米国市場も下げ幅が大きくなる場面がありましたけど、昨晩のダウ平均は200ドル安から持ち直し。少しは落ち着いてくるでしょうか?

依然として気になる存在なのはアップル株。株価は意外と底堅いです。昨年の夏場あたりからアナリスト評価に連動性を高めています。最近は特に評価が下がれば極端に株価が下がるケースが増えてきており、4月の史上最高値644ドルからの調整もそれが要因の一つです。
一方、足元の評価は少し強気に改善してきたところ。なのに、5月18日(FBの上場日)までアップルの株価は逆に下げていました。FBの大型上場が気になっていたのでしょう。

FBの上場通過後、アップル株は今週初め(5月21日)から強気に改善した評価に遅れて反発に転じてきました。もし、この先反発基調を強めれば、米国株全体や日本株にも好影響を与えることになるでしょう。アップル株は同時株安を救えるでしょうか?

スマホやタブレット端末の市場拡大を背景に、半導体製造装置メーカーの受注が改善基調にあります。半導体検査装置で有名なアドバンテストの社長のコメントでは、今期はスマホやタブレットに加え、ウルトラブック(薄型軽量パソコン)が夏の後半から伸びてくるとみているようです。アドバンテスト(6857)の今期の受注見通しは、前期比で20%~40%増しの予想。半導体製造装置メーカーの株価は受注動向に敏感に反動するだけに、ウルトラブックが寄与してくれば後半に向けて面白そう。半導体関連をもっと広く見渡してみると、SUMCO(3436)やウエハ用研磨剤で世界シェア9割のフジミインコーポレーテッド(5384)などにも注目ではないでしょうか。

株価推移でみると、アドバンテストやSUMCOは半導体製造装置トップの東京エレクトロン(8035)と違い、リーマンショック後の安値を下回る、どちらかというと最近まで下げが続いた銘柄です。受注環境が好転してきただけに、長期の値ごろ感が意識される局面でしょう。フジミインコーポレーテッドは全体がこれだけ下落するなかで、25日線が上昇トレンドにある強い銘柄です。   

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ