建設株や道路株などは復興関連としてのわかりやすさもあり、真っ先に上昇しましたが、足元調整色を強める銘柄が多く見られます。ここからは理想買いから現実買いへの選別に焦点が移るとみています。決算発表時期ということで、決算短信などを見る機会が多いのですが、地味ながらも復興需要が追い風になっている企業が気になります。このモヤモヤ相場のなかでも、高値更新のオイレス工業(6282)のように特定分野に強みを持つ出遅れ銘柄に注目です。軸受機器が主力ですが、震災後の復旧工事で建築機器が堅調に推移。免震装置なども有名です。
また、岩手地盤の在来型注文住宅大手の東日本ハウス(1873)のように比較的早めに調整が完了し、再び高値を更新してくるような銘柄なども上値余地がありそうです。2012年10月期は震災の影響による着工延期分の上乗せを見込んでいます。株価は300円台後半まで調整があるかもしれませんが、直近高値は2005年9月に付けた高値409円を更新しており、長期低迷を脱した公算が高い。
今、調整局面にある銘柄も収益が乗っかってくれば、押し目買いから再び動意付く可能性はあるのではと想定しています。
先日、5月は自社株買いが増えるといったお話をさせていただきました。東証一部のPBRが再び1倍割れ水準まで低下していることもあり、発表された銘柄の中から飛び出すものが出てきています。例えば、5月は除いて、4月に東証一部で発行済株式数の1%以上の自社株取得枠を設定した企業の株価を、発表があった日の終値~5月8日終値までの騰落をみると、平均して2.3%上昇しています。これを2%前後以上の取得枠に限定すると4.9%の上昇となります。当然、好材料として織り込むスピードやPBRの水準、株価のそれまでの基調などほかの要因はあるにせよ、全体相場がこういった状況の中で何かないか?
月末にかけて発表される企業のなかでも発行済株式数に対する比率が高い、流動性のある銘柄には注目できるのではないでしょうか。
個別銘柄では、電線メーカーのタツタ電線(5809)に注目。スマートフォン・タブレット用の機能性フィルムがフル稼働で供給体制を強化するといった状況です。株価は信用の買い残と売り残が拮抗で出来高面からの基調変化に注目です。あと、染色加工事業がユニフォーム用やスポーツ用を通じて堅調なサカイオーベックス(3408)なども。トリドール(3397)は主力のセルフうどん店「丸亀製麺」の新規出店の効果大。上場来高値1200円に近い水準にあります。短期的には高値警戒感ありでも、中期値固めとみればトレンドが今後発生してくる可能性はあるとみています。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ