4月9~10日に開催された日銀金融政策決定会合(以下、政策会合)では追加金融緩和はなく現状据え置きとなりました。今月27日に開催される政策会合では追加緩和策が打ち出される見方が浮上しているようです。株価が下げているだけに思惑が強まりやすい時です。

3月の政策会合では金融政策は現状据え置き。2月は資産買い入れ等基金のうち国債の買い入れ上限を9兆円→19兆円に引き上げると同時に、消費者物価の前年比上昇率1%を目指し、それが見通せるようになるまで金融緩和を推進していくとの方針が示されました。予想外のアナウンスにマーケットがポジティブに反応したのは記憶に新しい。

そうです、株式市場がポジティブに反応するには、意外感がなければインパクトはあまり期待できません。例えば、初めて資産買い入れ基金が創設された2010年の10月のときはサプライズとなり、2011年2月まで株価の上昇が続きました。しかし、そのあと一年かけて基金の額を5兆円、10兆円と随時増やした局面がありましたが、株価の反応はたいしたことはありませんでした。

4月後半の政策会合への期待感が先行してしまうようでは、効果はほとんどないでしょう。仮にあったとしても戻り売りのタイミングになり、織り込み済みに終わってしまうような気がします。

この先、むしろ重要なのは企業の決算発表。理由はどうであれ、シャープやソニーの下方修正をみると、この程度の値ごろ感では個人的には買いたくないと感じますよね。

しかし値ごろ感といえば、TOPIXが高値を付けた3/27を起点として、コア30銘柄で最も下げたのは、パナソニックやソニー以外では新日鉄(5401)。本日はマドを伴う十字の転換しやすい足(11日引け記載)。先導して下げたこれが折り返せるかに一転注目ください。全体相場の目先反発のシグナルになりえます。

さて、国内企業は月末あたりから本格的に動くのではないかと考えています。新興国での需要の堅調が維持されていれば、企業業績を牽引する成長ドライブは変わりません。日本株は円安を通じた業績改善期待が株価上昇の原動力となりましたが、中国の景気減速や欧州リスクの再燃などが帳消しにすることもあり得る。調整が仮に長引けば、日経平均で9200円~9100円程度までの調整は想定しておきたいところです。

業績の上方修正も現段階では局地的な動きにとどまるとみています。業績発表が次第に経過するに連れて戻り売りが予想され、5月後半に向け調整局面を迎えるのではないでしょうか。

来年に向けての買い場はそこ。為替も同じように円高が一巡して大きな二度目の円安トレンドに入っていくシナリオです。企業の経営者マインドが円安見通しに自信を持ち、強気になれるのはそのタイミングからでしょう。株は、特に2006年~2007年の高値に対して全然戻っていない金融株の盛り上がりに期待。昨年後半からの大きな上昇が、中長期の小さな着火点になったと思います。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

-----------------------------------
「トレーダーズ・プレミアム」は、個人投資家の心強い味方です!!

http://www.traders.co.jp/service/goods/premium.asp

-----------------------------------