昨年、福岡で開催されたテクニカル分析の会合。そこで知り合いになった証券会社の若手営業マンIさん。株が大好きということで、証券業界にある最近の若手では少し気合の入った存在。近頃、メールでのやり取りが頻繁です。

そのメールには、「東レ(3402)に注目していますが、なかなか値上がりしないのでどうしたもんか、なぜ、日立(6501)のようになってくれないのか?」、と書いてありました。
人気や材料性の違いなのかもしれませんが、直近の上昇で昨年高値を上回った日立に対して、東レはまだそれを上回ってない。確かに、昨年からの動きを見る限りでは両者にはかい離があり、株価の波動からは頭をひねりたくなる、のかもしれません。
しかし、両者には決定的な違いがあるのです。

業績などを含めた詳細は分析できていません。ですが、テクニカル面からの個人的な意見では、日立の大天井は1988年(バブル相場)、そして、2001年、2007年と高値を切り下げる展開が続きました。

一方、東レは2007年までの全体の相場上昇(新興国相場)に途中まで乗っかり、2006年が大天井です。足元は大きな調整のあとの単なるリバウンドの域。つまり、病気(その後の調整)が完全に完治していない状態で走りだしたような・・・

日立は2001年、2007年と戻り高値を形成する過程でリハビリは終了。今になって体力が蓄積され比較的上がりやすい、そう考えたらどうでしょうかと。

このことはほかの銘柄にも共通して言えることだと思います。必ずしも2006年~2007年の高値銘柄に「?」が付くことはないですが、バブル時期に高値を付けた長期調整の銘柄には相当な株価力が付いているはずなのです。

さて、「辰年(2012年)」3月の日経平均の月足は3ヶ月連続で陽線(三陽連)となりました。過去1980年から振り返ると、1月~3月まで陽線が続いた年は6回。そのうち「辰年」は今回で3回目となります。

直近の2000年のケースは、1999年9月から陽線が続いたせいか、3月で連続記録が途絶えてしまいました。今年とよく似たケースはその前の「辰年」1988年。前年12月まで陰線が続きましたが、1月からは4ヶ月連続で陽線となりました。

足元は4月に入ったばかりです。1949年に東証が再開して以来、4月の陰陽は62回のうち42回が陽線で勝ち越し。年間では1月に次いで高い勝率なのですが、いやいや4日の強烈な下げ、少し調整するムードがでてきましたね。

しかし、日経平均の月足が三陽連になるぐらいだから、さすがに個別銘柄にも多い。底値圏にでる三陽連は「赤三兵」と呼び強気の買いシグナル。過去の「辰年」アノマリーはともかく、三歩進めば一歩ぐらい下がるもの。この4月で一歩下がるだろう押し目をどう捉えるか。中長期投資の観点からはかなり重要だと思います。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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