日本株は今週も手堅い動きです。テクニカル面の短期的な過熱感を指摘され続けていることに加え、バリエーション面では東証一部のPER22倍超えでも買い進まれ、「来期の業績回復を織り込む動き・・・」と、アナリストはそうコメントせざるをえない状況になってきました。
しかし、全体的には株価の揺り戻しよりも、為替市場の円高への揺り戻しの方が心配ですよね。ドル円は昨年10月の為替介入時の79円55銭を突破し、目先は一時84円台まで付けました。現状は一方向に円安が進んだあとの反動が出やすく、日本株の売られる要因になる可能性があります。目先は商社株が日足でマドをあけて下落したのも気掛かり。円高・ユーロ安がかなり修正されてきている局面でも、欧州関連株の戻りは期待したほどではありません。現在のユーロに対する高値警戒を察知しているのでしょうか。今晩の独3月製造業・非製造業PMI(17:30)から、ユーロ圏の経済指標の発表が週明けまで続きます。ユーロ相場のポイントになる局面でしょう。株も来週の権利落ち分を即埋め戻せるかに注目です。
さて、17日付け日経夕刊の土曜掲載版、「ウォール街ラウンドアップ」を読まれた方はいますか?久しぶりに目を引いてしまった"「うれるリンゴ」の落とし穴"では、米株式市場のアップル依存症について語りかけていた様子です。それによると、大型成長株を投資対象とする米投資信託の9割近くがアップル株をすでに保有しているとか。指数に占めるアップル株のウエートの高さなどから、それは理解できるのですが、中・小型株投信や高配当株投信、米国以外を対象とするファンドや債券ファンドまでも同社株を持っていることが確認されたそう。株主還元策があとから発表されたので、よしとすべきなのでしょうけど、資産運用で一部に偏り過ぎるのはどうか。
ルール上問題ないそうですが、この現象はどうとらえればいいでしょう。予想PERがまだ約14倍台とはいえ、買い切ったらあとは売るしかない。買い替えるほどポートフォリオマネージャーが魅力的に感じる銘柄が、米国市場にはもはやないということなのでしょうか。それも怖いといえば怖いです。そういえば、東京市場のIT相場絶頂のときも、○通信や○バンクなどは必ずといっていいほど、どの投信にも組入れ上位にはいっていたような記憶が一瞬だけ蘇りました。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ