東日本大震災が発生した2011年3月11日の終値を100として、東証33業種の騰落率をみると、震災直後は「建設」、「鉱業」、「金属製品」、「卸売(商社)」などが復興需要を先取りして上昇しましたが、足元で震災発生日の水準を維持しているのは、バブル崩壊後に低迷が続いた「建設」が特に目立ちます。「建設」でも個別銘柄では、基礎・地盤改良、海上土木、道路舗装という業態がわかりやすい低位株の上昇が続いています。

「復興庁」が発足したことで、これまでの応急処置的な復旧から復興関連工事の発注が本格化します。2011年度の3次補正の執行はむしろこれからで、復興需要は道路、トンネル、橋梁、港湾工事の増加に連れ、産業機械などにも波及しそうです。株式市場も理想買いから現実買いへの選別に焦点が移るのでしょう。

また、これまで反応が小さいながらも下値を切り上げる、オイレス工業(6282)、日本上下水道設計(2325)など特定分野に強みを持つ出遅れインフラ関連などにも注目したいところです。

一方、復興需要はインフラ整備だけではなく、「家の補修や補強」、「災害への予防や備え」に対する意識が東北地方にとどまらず全国レベルに波及しています。それらを取り込む業種は「小売」。実は、「小売」の株価は震災直後に下落したものの、足元は震災発生日の水準を超え、ここ直近で盛り返した「鉱業」と張りあう強さ。地味で派手さがないだけに、逆に堅調なのか。「小売」といっても業態はさまざまですが、ホームセンターのDCMホールディングス(3050)やコメリ(8218)、家電販売ではケーズHD(8282)などに注目でしょう。主力株が上昇するなか、少し休んでいましたからね。

(※)グラフはクリックいただくとダウンロードいただけます。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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