東証がアローヘッド(次世代の高速売買システム)を稼動させたことに伴って、フル板情報(すべての気配)の配信が開始されました。2010 年1月の導入当初の頃は、投資家の間ではメリットやデメリットなど、いろんな意味で話題性が高かったわけですが、やっぱり相場の良し悪しの方が重要。

しかし、ついに、このフル板情報に対応した分析ツール「Market Impact」というスゴイものを見つけてしまいました!

私も証券マンの頃、お客様からの株の注文を受け、板情報を見たときに、「あればいいなぁ~」と一瞬薄っすらと思ったときもありましたけど、こんなの今まで見たことありません。今は無料で使うことができますので、一度試してみてください。

東京証券取引所のウェブサイトのTOP画面にバナーで掲載された「東証Market Impact View」をクリックしてやると、簡単な手続きで利用できます。私は昨日そのサービスを知り、今日からさっそく相場情報のひとつとして凝視していました。5秒ごとに情報が変わっていくようで、見ているだけでも面白い。

東京証券取引所のウェブサイト:http://www.tse.or.jp/

東証Market Impact View:https://www.tse.marketimpactview.com/Top

簡単にご紹介しますと、「個別銘柄」と「市場トレンド」の分析に分かれています。
「個別銘柄分析画面」では、フル板情報によって得られる、売り買いの注文のバランスをグラフで直感的に見ることができます。

ある板状況(売り買いの注文状況)のとき、一般的には成行注文の株数が大きいほど、その平均約定単価は仲値(現値)から乖離します。この乖離の大きさを、その株数に対する「インパクト」といいます。

取引時間中の各時刻における「買いのインパクト」と「売りのインパクト」の大きさを比較することによって、売り買いの注文の偏りをみることができます。

どれだけの株数を買うとどこまで値段が上昇するか、どれだけの株数を売るとどこまで値段が下落するか。これまでは、高速・高頻度売買を繰り返すヘッジファンドなどが発想する世界でしたが、個人投資家でもビジュアルでみることができるようになったわけです。

一方、「市場分析画面」は市場の全体的なトレンドを把握するためのもの。現在の注文バランスとこれまでの値動きの関係、ボラティリティなどの分布状態を表示しています。こちらは少し難しいので、まずは「個別銘柄分析画面」をご覧になってください。
画面がとにかく分かりやすい構成になっているので、実際に株を売買されている人は感覚的にすぐ理解できると思います。

実はこのサービスは2011年12月からあったそうです。2012年2月1日からは日々の取引時間中のデータを、エクセルにダウンロードすることができるようになりました。なので、それぞれの銘柄のクセ、市場参加者の行動パターン、証券会社のディーラーが入りやすい銘柄なのかなども含め、オリジナルで分析することができるかもしれません。東電とオリンパスなどは同じ時期に動いた株なので、投資家の手口や行動パターンは同じはず・・・などなど。

日経先物は夜間取引が午前3時まで延長され、米国市場の動きをより早く織り込み、東京時間の日中の値動きが小さくなっています。

2011年後半あたりからは、先物市場から現物市場に資金が移っているそうですが、今年はより銘柄を絞った個別戦略に注目ですね。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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