3月の最終週になりました。3月の最終週は、金融人の私にとっては、決して忘れることの出来ない思い出の週です。あれは21年前、1997年。正確に云うと3月の最終木曜日の3月27日に事態は動きました。場が引ける20分ほど前に、日債銀(日本債券信用銀行)の海外撤退のニュースが、当時働いていた外資系投資銀行のトレーディングデスクの上に山のように積まれていたモニターのひとつのニュース端末に流れたのです。

その二日後の土曜日に橋本龍太郎内閣はビッグバンの要綱500項目を発表し、それらを見て、感じて、私は従来の流動性の高いマーケットのトレーディングの仕事から離れ、全く新しいビジネスを創ることに取り掛かったのです。その結果、証券化や、当時日本にはまだそのビジネスのやり方が全く確立していなかった不良債権購入ビジネスを素からデザインし、立ち上げ、そしてそのビジネスの中で日本の金融機関のバランスシートや問題点を目の当たりに見ることになり、また長年トレーディングしてきたマーケット以外に目を向けることになった結果、インターネットの可能性などに気付くことになり、今のマネックスを創業することに繋がっていったのです。

私の人生を大きく変えることになったきっかけが、21年前の3月の最終週でした。きっかけはあのニュースだったのか?或いはそれまでに私の中に蓄積されてきていた何かしらの考えだったのか?それは分かりません。いずれにしても、春は変化を予感させる季節です。東京の桜はもう狂おしく咲き乱れています。春って、なんだかんだ云っていいですね!