今は二十四節気では寒露 (かんろ)に当たります。暦便覧には「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也」とあります。立冬まであと二節気弱ですから、冬が近付いているのは明らかで、東京でもここ数日で一気にガクンと寒くなりました。
ふと目をやると、辺り中で木の葉が色付いてきています。秋本番です。

古今集に、ちょうど今頃の歌として、以下の歌があります。
「草も木も 色かはれども わたつうみの 波の花にぞ 秋なかりける」~草木の色は変わるけれども、波の花は(白いままで)いつもと変わらず、波には秋は来ないのだな。

波と云えばマーケット。気候は秋雨の中、どんどん寒くなって来ていますが、マーケットはそんなことお構いなし、むしろ夏真っ盛りのような状況になっています。

古今集の歌として、この歌は平凡に思えますが、何故選ばれたのでしょう?波の情景を歌っただけでは、ちょっと単純過ぎます。今のマーケットがそうであるように、人の心は季節に関係なく、熱く燃えることもあります。そんな普遍性を、古の人も波の中に見ていたのでしょうか?波と人の心とマーケットは、共通項が一杯ありますね。