株式市場に於けるインデックス化が進行しています。年金等のインデックス運用(いわゆるパッシブ運用ですね)、インデックス投信、ETF。機関投資家の多くが、インデックス運用をしており、その額は毎年増え、今ではマーケットのかなりの部分がインデックス運用の対象となっています。その功罪は、私は今までに何回か書いてきました。

一般にマーケット全体のリターンをベータ、そのベータから離れた余剰的なリターンをアルファと呼びます。インデックス化の進行は、マーケット全体のアルファを減らし、その結果アクティブ運用者の活躍するスペースを減らし、その結果特定銘柄に対する買いや売り、企業に対する牽制が減り、コーポレートガバナンスの機能が低下すると共に、マーケットの価格発見機能が落ちるのではないか?と考えて来ましたが、違う側面もあることに気付かされました。価格発見機能の低下の問題は引き続きあるのですが、機関投資家による牽制活動、即ちコーポレートガバナンス機能(の一部)は、インデックス化の進行に伴って、必ずしも減るものではないかも知れないと。

インデックス運用者は、個別銘柄の選択的売買を基本的にしません。売買をしないとなると、出来ることは議決権の行使だけです。すると、議決権の行使を通じて、或いはそこに至るまでの企業との対話(いわゆるエンゲージメント)を通して、コーポレートガバナンス機能を発揮せざるを得なくなります。価格発見機能の低下とか、アクティブ運用者が減ることによるマイナスの影響などは、引き続き丁寧に考察する必要があり、潜在的に巨大な問題である可能性があります。コポガバについても、上記のように考えることも出来ますが、これももう少し深く考察する必要があるでしょう。

インデックス化の進行は、深くて大きい問題だと思います。