お鮨やさんの玉子焼き。美味しいですね。通常芝海老が打ち込んであって、甘過ぎずほのかな香りもあって、美味です。季節によっては桜海老を使うこともありますが、香りが若干強め、そして色が変化しやすい難点があります。帆立などを擦り込む店もありますし、山芋などを混ぜる店もあります。たかが玉子焼きひとつにも色々な技が使われています。

ニューヨークのお鮨やさんで食べた玉子焼きには、海老も何も入っていませんでした。甲殻類のアレルギーの人がいるからだそうです。ニューヨークでは、ビーガンと云う完全ベジタリアンに対応するために、ハチミツを使う使わないも食べ物屋さんは意識するようです。もちろんベジタリアンの人はお鮨やさんに来ないと思うのですが、私は一度、日本を良く知っているフランス人夫妻と出掛けた時に、予めどんなお店にしようかと相談した上でお鮨やさんに行ったのですが、席について「お嫌いなものは?」と聞かれたら、奥さまが平然と「生の魚」と答えた時があり、冷や汗が出たことがあります。

ニューヨークの玉子焼きに話を戻すと、ニューヨークではこのように色々とお店で出す食べものに気を使っていますが(と云っても必ずしも美味しい訳ではないのですが)、日本の食べ物屋さんではここまで意識されていません。何故だろう?
日本人はアレルギーが少ない?日本人の方が食の好き嫌いが少ない?うーむ。先天的にはそんな差があるとも思えません。

やっぱり日本の方が食が美味しいので、「美味しければ何でもいい主義」が増えるのでしょうか?でもアレルギーのことは説明出来ません。日本人の方が、「これは食べられないのでいらないです」と諦めやすいのでしょうか。恐らくこれらが混ざっているのでしょうね。日本ではお鮨やさんの方がお客さんよりも主張が強いと云うことなのかも知れません。

最近京都のワインバーで、「この値段は高いから払わない」と主張している白人の紳士がいました。外国人観光客が増える中で、「郷に入っては郷に従え」的な感覚が下がって来ているのかも知れません。この「お店とお客さんの主張」の関係は、これからインバウンドが増えてくる中で、案外厄介なことになって来るかも知れませんね。