今までに何度も書いたことがありますが、私は萩原朔太郎が大好きです。確か中学一年生の時に教材で初めて「竹とその哀傷」を読んで、最初の瞬間は自分の脳がその形に着いていけず、匂いもよく分かりませんでした。そのために、単に「分からないもの」としての不気味さだけがありました。しかし試験にも出そうだし、何度か繰り返して読んでいるうちに、徐々に脳や心が反応を始め、次第に自分なりにその形が見えたような気になり、匂いというか雰囲気を感じるようになりました。

以来、読めば読むほど、自分なりにイメージが見えるようになり、自分なりに朔太郎の念を感じるようになりました。そういう感覚を持てることが、どこか特別な気もして、高校卒業の頃までに、全作品を読みました。或る縁から、朔太郎の生誕130周年記念イベントで、朔太郎のお孫さんと対談することになりました。明日、前橋に行きます。自分にとっては、朔太郎はスーパーアイドルなので、この機会には、狂喜乱舞とは云い過ぎですが、かなり興奮します。久し振りに朔太郎詩集を手にすると、朔太郎の世界に引き摺り込まれるだけでなく、あの頃の、十代の頃の自分の輪郭にちょっと触れるような気持ちにもなりました。詩はいいですね!