今日の日経平均は1000円近い上昇となり、いい方向ではありますが昨日以上に大荒れの相場となりました。いわゆるショートカバー、買い戻しが起きたように見えます。業界用語ではこういう状況を「踏み上げる」と云います。恐らく空売りをしていたヘッジファンドなどが、急に上がり始めた相場に耐え切れなくなって、大きく買い戻したのでしょう。

しかし東証の出来高は昨日より20%程度少なく、このウルトラ・ボラティリティの中で様子見をした、或いは戦意を失ったか上司などから止められるなどして売買を出来ない参加者が多いのでしょう。昨日も書いたように、ヴォリュームが増えて来るまでは、マーケットが安定を取り戻すとは云えないでしょう。
それはさておき、原油の値段についてちょっと考えてみました。ニュースで1バレル30ドルなどと云われていますが、このバレルとは、いわゆる樽のことですが、原油の場合は約160リットルです。単純に計算すると、1リットル20円程度です。安い。もちろん精製の過程で量は減り、値段も上がる訳ですが、油田からの卸値は1リットル当たりたったの20円です。水より安いんじゃないかとさえ思えます。

一方水を取るのに大した設備投資はいりませんが、採掘が容易だと云われるシェールガスでさえもかなり大きな設備投資は必要と思われ、原油の値段が下がった場合の様々な問題の大きさを感じます。エネルギーが安いことは基本的にいいことで、それはエネルギー輸入国である日本にとってはいいことですが、激しい値動きに伴う痛みは大きいでしょう。

株式市場も原油市場も、高いボラティリティはほとんど全ての人にとって良くないことです。アメリカが通貨供給量と速度を下げていく中、ボラティリティは高止まりしそうです。金融機関等に対する様々な規制が、マーケット参加者のリスクテイク能力を下げており、それもボラティリティを高くする要因だと思います。2016年は、リーマンショック後長く続いた低ボラティリティ時代が終わり、高ボラティリティ時代が始まった年になるかも知れませんね。