中東がまた新たな局面に入りました。イランが核開発活動の制限措置を受け入れたことに伴い、アメリカはイランに対する制裁措置の解除を始めます。そしてイランの原油輸出が再開されます。
原油の価格は更に下がるのだろうか?サウジアラビアはイランが国際社会に復帰すること、そしてそれを後押ししているアメリカを嫌って、イランとの国交を断絶するなどのアクションを取っていますが、イランとの間で"事(こと)"を起こすことによって、国内の秩序を保ったり、或いは原油の値段を下げ止まらせようとしているのかも知れません。或いは単にスンニ派とシーア派の争いなのかも知れません(そんなことはないでしょうけど)。
イランが欧米と近付くことによって、シリアに対するコントロールがもっと効くようになるでしょうか?或いはそもそもそんなことは儚い夢でしょうか?ロシアの拡張路線(南下政策)との絡みで、アメリカとしてイランに近付くことは必須だったのかも知れませんが、これも思い通りに行くとは限りません。そして原油の値段の行方は分かりませんが、どちらかというと下がって行く方向ではないかと思われ、そのことが中東諸国に与えるネガティブな影響は計り知れず、そしてまたそれが過激派を悪い方向に刺激する可能性もあると思います。
これら中東の問題は、根深く、そして大きな話で、かつどういう方向にぶれるかが読みにくく、不安定なものです。その影響の及ぶ範囲は、アメリカの経済・今後の金融政策に留まらず、日本を含む世界の経済と資本市場(株式、金利、為替)に影響を及ぼしていくでしょう。私が子供の頃から何度も何度も、第何次中東戦争の報道と映像がテレビに流れていました。中学から高校に行く頃に、パーレビーがイランから居なくなり、以来いつでも中東は、少なくとも私には混沌としていて、何が何だか分からなくなってしまいました。日本に於ける世界史の教育や解説も、或る意味混沌としていて、事の重大さに比べて、報道量は著しく少ないし、しっかりと整理されて説明されてこなかったと思います。或いは私の理解しようという努力が足りなかったのかも知れません。
しかし、これからは、命を守るためにも、経済やマーケットの行方を考えるためにも、中東の情勢はしっかりと追い掛けて理解しないといけないでしょう。そういう時期が来たと思います。2016年は、中々課題の多い年ですね。