BRICS5ヵ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)による、世界銀行やIMFに対抗するような新しい国際機関、「新開発銀行」の設立に、当該5ヵ国のトップが合意しました。資本金は500億ドル、ザックリ云って5兆円。5ヵ国が1兆円ずつ出資するとのこと。同時に1000億ドル(約10兆円)の緊急準備基金の創設にも合意したとのことで、こちらは中国が410億ドル、南アが50億ドル、他の3国が180億ドルずつ拠出するとのこと。本部は上海。初代総裁はインドからとのこと。うーむ。これは激しい動きです。
最初の印象は、呉越同舟とは正にこのことかと感じました。中国とインドはとても仲が悪い筈です。しかし上海に本部を置き、初代総裁をインドからとのたすき掛けを行う。ブラジルは政治的に動揺していますし、ロシアも様々なイシューを抱えています。本当に5ヵ国うまくやっていくのだろうか?この規模のお金が、中国を除いて本当に拠出できるのだろうか?そしていざという時に、本当にこの規模のお金で問題を克服できるのだろうか?等々、色々と思うことがあります。
しかし一番思うのは、中国の戦略の大胆さです。中国は上海を国際金融センターにしたい。これは奇しくも昨日つぶやいた、我が国が東京を国際金融センターにしたいというのと同じセンターです。中国は国際資本市場に於ける自らの地位を高めるために、IMFのSDR(IMFに於ける特別引出権)に於ける人民元の比率を高くした上でSDRを国際基準通貨にしようする案も過去に画策したようですが、そうではなく、世銀に対抗する銀行を上海に設置することを大枚はたいて実現しました。
方や日本・東京においては、金融行政の英語窓口設置やインフラファンドの実現などを国際金融センター実現のためのネタに挙げています。これでは大砲と針一本ぐらいの差ではないですか。情けない。東京をアジアに於ける国際金融センターにする構想は、既に本当に瀬戸際まで追い詰められた感があります。本当に真剣に、我が国はこのことを考えるべきだと思います。