最高裁大法廷は、婚外子の遺産相続分が嫡出子の2分の1であるという民法の規定を裁判官全員一致で違憲としました。嫡出子・非嫡出子(婚外子)の権利の問題は、遺産相続に限らず、様々な人権問題を抱えていますが、この最高裁判断がこれらの問題を是正していくいいきっかけになると信じたいです。

この問題は、一義的には法の下の平等という観点からの人権問題でありますが、実は出生率が低いことにも関係があるのではないかと私は思っています。新生児に占める婚外子の比率は、OECD加盟国平均で40%程度、北欧やフランスでは50%を超えています。ドイツでも3分の1を超えました。しかし日本と韓国だけが2%程度と突出して低くなっています。この2国は戸籍制度がある、もしくは情報量の極端に多い戸籍のある数少ない国でもあります。

大法廷決定を受け、遺産相続に限らず、もっと広い範囲での生まれてくる子供たちの権利の平等や、延いては戸籍制度の見直しまで、もし我が国社会が取り組んでいくと、出生率の上昇を通して、きっと経済的なメリットも大きいのではないかと私は思っているのですが、中々難しいでしょうか。