公言するのも憚れますが、実は私、キャブレター車を一台隠し持っています。地球環境的には、甚だケシカラン一品なのですが、滅多にエンジンを掛けることもないので、ここは何卒、片目をつぶって御容赦下さい。年式は昭和50年の、或る意味何の変哲もない、古い日本車です。しかし全く問題なく動きます。
キャブレターと云うのは霧吹きみたいなもんですから、極めて原始的で、色々と面白い動きをする時もあります。例えばキーをひねっても、アイドリングとエンストの間ぐらいでエンジンが止まらなかったり。当然気圧によっても馬力が変わりますし、冬はチョークを引かなければエンジンは掛かりません。いずれにしろ一発でエンジンが掛かることはありません。そもそも微弱に漏電するようで、乗り終わったら一々バッテリーのコードを片側抜きます。また乗る時に先ずはコードをバッテリーに繋ぐのです。どんな時でもすぐに動かない訳ですが、一方、仕組みが原始的で、部品数も少なく、電装も殆どないので、かなり長い間放ったらかしにしておいても、基本的に同じ手順できちんと動きます。
シフトアップは何の問題もなく、加速もいいのですが(いいと感じるのですが)流石にヒール・アンド・トゥでシフト・ダウンするのは壊れそうで出来ませんし、止まる時はちょっと早めにクラッチを切らないと、クランクに負担が掛かってちょっとギクシャクします。でも、快適で、カッコ良く、可愛いのです。プラスチック系の部品が少ないのもいい味を出しています。昭和50年登録。今から34年前の車です。温故知新と云います。新しいものもいいですが、古いものを大切にするのも、また格別ですね。