昨日の統一地方選挙、13の知事選については、なんと現職の9氏が全勝するという呆気ない結果となりました。早速様々な戦後評がされています。例えば東京に関しては、現職石原氏がイメージ戦を上手く戦ったとか組織票を押さえたとか、対抗浅野氏が出馬表明が遅すぎたとか対立軸を作り損ねたとか。
しかし、現職9氏が全て勝ったとは、しかも全て圧勝とは、何かもっと大きなマクロ的理由がある気がします。9都道県の中で、もっとも接戦だった東京でも、当選した現職者は次点の1.7倍近い票を獲得しています。もっとも大差が大分で7倍以上、9都道県の当選現職者得票数は、次点者得票数の2倍を優に超えています。

私はこれは、中央の政権に対するそこはかとない不安感から、地方の政権ではリスクを取れないと云う感覚が無意識のうちに生まれ、その結果このような現状維持的、即ち当面のリスクを取らない判断となった気がしてしまいます。中央がもっとしっかりしていれば、違う選択肢を取るという冒険が、地方では取れたのではないでしょうか?各候補の戦術などもあるでしょうが、それ以前に、このような大きな潜在的環境があったのではないでしょうか?その替わり、道府県議選では自民党が大きく議席を減らしています。

要は有権者は、マクロ的な結果として、上手い具合にバランスを取っているように私には見えます。私は特にどの政党を支持するでも、現政権について主観的な評価をする訳でもありませんが、今回の選挙の現象を見ると、そこには有権者全体のメッセージがあるように思われ、もしこの考え方が正しいとすると、この現象を引き起こした中央の人達にはこの声をしっかりと聞き取り、この現象に便乗した各地の人達にはこの声を勘違いしないで欲しいと思います。