先週の金曜日、当社で販売を始めた投信「ロシアオープン」の説明会を、都内のロシア料理店(正しくはグルジア料理店)で開きました。500人を超える応募があり、抽選で選ばれたラッキーなお客様20名と、ボルシチや壺焼きなどを頂きながら、ロシア投資について考えました。

ロシアは所謂BRICsの一角であり、今後の大きな成長が期待される大国です。天然資源に恵まれた国で、特に原油や天然ガスの埋蔵量が多く、これらの輸出を軸に外貨(ドル)を急速に稼いでおり、既に日本の1/3程の外貨準備高があります。中国の発展などから、今後原油の世界需要が下がることは考えにくく、原油高→原油輸出で潤う→国内消費も活発になる→経済が成長→株式市場も好調、と云うシナリオにが期待されます。実際ロシア株は、今まで強烈なリターンを叩き出しています。

しかし私はリスクもかなり大きいと思います。『天然資源が鍵』と云うこと自体に、多大なリスクが含まれています。先ず、世界の原油需要が下がらなくても、原油の値段が下がることはあります。

例えばエタノールなどの代替エネルギーの量産・低コスト化が成功すると、原油価格は下落します。或いは代替エネルギーの開発を阻止するために、原油産出国が戦略的に原油の値段を自ら下げてくるかも知れません。次に、「原油を売れば外貨が入る」と、株式市場に於ける海外投資家を大切にしなくても、天然資源を掘って輸出するだけで外貨を稼ぎ国内産業に投資できますから、海外株式投資家がないがしろにされるようなリスクがあるかも知れません。
最後に、天然資源が豊かな国では、利権を争って政治的汚職が肥大化・深刻化しがちなものです。ロシア投資には、以上のようなリスクがあります。しかしリターンも、今までの実績を見ても、これからの可能性を考えても、かなり大きなものを見込めそうです。天然資源ネタ以外にも、例えば最近では欧米の多くのIT開発が、ロシア東部(サンクトペテルブルグなど)のエンジニアにアウトソースされていることは有名な話です。要は典型的なハイリスク・ハイリターン型の投資対象な訳です。ハイリスク・ハイリターン型の投資をする際には、投資金額を控えめにし、タイミングを分散するのが唯一の正攻法です。新しい投資対象を御案内し、そのリスクとリターンと取り組み方を考える。当たり前のことですが、そう云った反復を、これからも更に多く、更に丁寧に、していきたいと思います。