今日、或る取材の中で、最後に「松本さんにとってしらうおとは何ですか?」と聞かれました。そんなこと聞かれたって!私はしらうおがそこそこに好きです。ちょうど今頃、春の訪れを告げる季節感のあるお魚です。生はゴツゴツするので、やはりゆでて、でんぶ(桜色をした甘いヤツです)などと一緒に握ったお寿司が美味しいと思います。桜の葉っぱを入れて、しらうおと卵だけで作った卵とじを食べたことがあるのですが、これはいかにも春らしい香りと味がして、素敵な料理でした。

この卵とじは家康の大好物だったそうで、そのしらうおを捕らせて献上させるために、大坂から漁師を集団移動させた場所が佃だったと云います。400年も前の話ですから、真偽の程は定かではありません。さて本題。「しらうおとは?」・・・苦し紛れに、「蛤とあさりの間」と答えました。桃の節供に蛤のお吸い物を頂くように、蛤は春先と云うか、春のちょっと前の食べ物です。
「あさ〜りぃ〜、とれぇ〜たぁ〜か、はまあぐぅ〜りぃ、まだかいな〜」これは蛤はまだ捕れないか?と云う意味かと思っていたら逆で、蛤がまだ捕れているの?と云う意味で、美味しいあさりが捕れるのは4月の中頃です。その間、ちょうど今頃に捕れて美味しいのがしらうお。春限定の、或いは春だけに食べたい食材です。気象庁は桜の開花予想の計算ミスをしたそうですが、早く桜が咲いて、桜の葉の香りが合う食べ物、しらうおの卵とじや桜餅を食べたいと思います。