昨日の取引所の決定について、様々な意見があると思います。ひとつ、あまり語られてはいないのですが、重要と思われるポイントがあるので、敢えてその視点を提供したいと思います。それは決定の内容についてではなく、その方法についてです。

今回の取引所の決定が、取引所として独立して行われたものなのか否か。それが大きなポイントだと思います。外から見ていると、今回の決定は独立して、即ち政治や行政からの干渉・指示を受けずに、為されたもののように見えます。そしてもし本当にそうであったならば、これは我が国の資本市場にとって、大切な、大きなステップだと思います。少なくとも海外の機関投資家などからは、日本には部外者には見えない、「秘密裡」の意思決定プロセスがあると長く思われてきました。

そしてそれは、インナー・サークルに属さない者にとっては、リスクでありコストに過ぎません。このような「秘密裡」は、一組織を越えて、複数の組織や権力にまたがって行われる時、部外者からは全く見当が付かなくなってきます。これは延いては、我が国の資本市場全体の足かせ、コストとなります。私は今回の決定の内容について論じているのではありません。あくまでも決定プロセスが、独立していたか否かだけを論じています。そして、取引所が独立して決定したか否かは、外見的にはそう見えますが、必ずしも明らかではありません。

そして更に、もし今回独立して意思決定していたとしても、それが将来も続く保証はありません。然しながら、独立意思決定は、実は市場にとって大変重要なファクターであることを、強調したいと思います。今回のことをきっかけに、より規律のある市場運営が為されていくことを、切に願いたいと思います。