今日、ハイテク関連ビジネスに携われているI氏と統合と分散について話しました。I氏とは8年来のお付き合いになります。I氏曰く、「日本も金融はM&Aなどによって統合が進んでいますが、ハイテク業界では未だ未だ統合が進んでいません。統合していかないと世界的競争力は持ち得ません。ハイテクは多くの会社が割拠している状況で遅れています。」本当にそうでしょうか?私曰く、「日本の金融と日本のハイテク。どちらが国際競争力を持っていると思いますか?」「むぅ〜。」規模を取りに行くモデルは、それ自体が自己目的化され、数字上では凄いことをしたように思われ、達成感もありますが、真実は違うところにあるのではないでしょうか?

統合によって数字は大きくなります。しかしそれは、必ずしも単位リソース当たり(社員とか資本とか)の生産性や仕事の質を上げているとは限りません。少なくとも日本でよく見られる「統合」は、巨大組織化による満足と安定化であり、謂わば自己保身のための統合である場合もまま見受けられます。分散・割拠モデルの方が、常に厳しい競争を迫られ、結果として単位リソース当たり生産性や質が高い場合が多いのではないでしょうか?統合が進んでいる分野と、分散している分野。この2分野に於ける人員当たりの能力+努力に対する報酬水準の高低も、企業の生んでいる付加価値量と相反する場合もあるように思えます。或いは生産性(Productivity)は統合モデルによって上がるが、質(Quality)は必ずしもそうではなく、分散モデルの方が質は向上しやすいとも云えるでしょうか。

一般にアメリカはProductivity追求型、ヨーロッパはQuality追求型と考えられますが、日本はいいバランスで双方を追求しうる社会だと思います。そんなことを忘れずに進みたいと、久し振りのI氏との会話の中で思ったのでした。