人は誰でも転びます。転ぶことを完全に避けることは出来ません。問題は転び方だと思います。前にも書いたことがありますが、縁石の上を歩いている人が転ぶ時、車道側に倒れる人はまずいません。無意識のうちに、ちゃんと歩道側に倒れます。それは日頃から繰り返し繰り返し車道と歩道のイメージが頭に刷り込まれているので、いざという時に、考えなくても体が正しく反応するのでしょう。

しかし体を動かしているのは脳ですから、考えていないようで、きちんと指示は出ている筈です。何度も何度も反復して意識してきたことなので、その瞬間には、一切の思考をしていないように感じますが、実際には一瞬の間にきちんと分析し、正しい動作を指示しているのでしょう。反復練習が、思考スピードを恐ろしく速くし、また思考の際の脳への負担を極端に小さくしているのでしょう。

このことは、ビジネスなどでも全く同じことが云えると思います。経験値、と云う言葉で表現されることもありますが、厖大な回数の反復こそが、緊急時の正しい反応を、瞬時に導いてくれるのだと思います。この仕組みを集団で共有したり他人に移転する方策。一つの経験をなるべく大勢で疑似体験する仕組み。文書化だけでは足りないでしょう。簡単な答えは決してないことだけは分かっていますが、重大なテーマとして、常に考えていきたいと思います。