国際会議で新たに気が付いたことが一つあります。日本人が殆ど居ないことは既に述べた通りですが、よく見るとドイツ人も殆ど居ないのです。

日本とドイツは、共通点が多くあります。そもそも明治時代にドイツの諸制度を採り入れようとしたことから見ても、元来共通点があり、かつその性質が助長されたのでしょう。国際会議にあまり出席しないだけでなく、外国企業に対する事実上の参入障壁が高い、即ち法律的にはオープンなのですが、外国企業がビジネスを拡げにくいこと、ディテールに強く、精度の高い工業製品を作ることに長けていること−自動車産業などはその最たる例です−など、様々な共通点を見いだすことが出来ます。そして二国とも、極めて強力な経済を誇っています。

或る意味で閉鎖的なことと、安定した経済成長には、微妙ですが重要な関係があると思います。保護的になり過ぎることは危険ですが、防波堤が必要な場合もあります。年齢と共に保守的な考え方に傾倒することに意識的に注意しながらも、”保護”の効能について慎重に考えてみたいと思います。