海外の一部メディアの報道によると、日本の政府系銀行がイスラム・ボンドの発行を計画しているようです。イスラム・ボンドとは、イスラム法に則った債券のことです。イスラム社会においては、利子を得てはならないなどの決まりがあり、我々が考える通常の投資商品に対しては投資することが許されないので、イスラムの投資家でも投資できるように工夫する必要があります。イスラム・ボンドとは、私も詳しくはないのですが、経済的な効用は通常の債券と同じですが、形の上では利子を発生することになっていない筈です。マレーシア政府が積極的にイスラム・ボンドを振興していて、隣国のシンガポールに対抗して、イスラム資本市場の中心になろうとしています。
今までこのようなイスラム法の事情があったので、膨大なサイズを誇る中東の資金は、アメリカやヨーロッパの、イスラム法対応をした限定的な投資口に集中投資され、その資金が形を変えて世界の資本市場などに環流する仕組みとなっていました。しかし最近のテロ問題が大きくなる中で、このイスラム社会からの資金環流の窓口が狭くなりつつあります。誰が新たな窓口となり得るかは、世界のお金の流れを考える時にとても重要です。是非論も含めて、様々な論点があると思いますが、日本も前向きに取り組むべきであり、この動きには大いに注目していきたいと思います。