株価と景気の間には、どれだけの相関関係があるでしょうか?もちろん関係はあります。大いにあります。一国の経済規模と、その国の企業価値の総和の間にも、一定の関係が存在すべきでしょう。

例えば、GDPと上場企業時価総額和は、全く無関係ではあり得ません。或る意味で付加価値の創造の総和がGDPであり、一方自由資本主義国家であれば、付加価値の創造の主たる主体は企業だからです。時価総額和は、GDPの半分を切ることはないでしょうし、一方2倍を超えることもないでしょう。長期的に見れば、この2つは収斂する性質のものと思えます。しかし短期的に見ていくと、関係が薄れます。1年、1ヶ月、1日と期間を短くしていくと、ミクロ的には全く関係ないと云ってもいいでしょう。或る日に日経平均が5%動くことはあっても、1日ではGDPは一切動きません。一方10年掛けてGDPが5割増えれば、その国の上場企業時価総額和は概ね5割ほど増える気がします。短期的には、「気持ち」が株価に与える影響が莫大です。また株は、或る意味では金融商品・リスク商品ですから、他に何も変わらなくても、リスクが変わるだけで株価は変動します。或いはリスクが変わらなくても、リスクの見積もりが変わるだけでも株価は大きく動きます。

まぁそれだけ株価を決定する要因は、多くて複雑で微妙なものです。株価変動の理由を探ることは大変重要で意味のある行動ですが、同時に決して解明はできないと云うことも、しっかりと認識しておく必要があると思います。株価の変動は、地震がいつ、どこで、どのような規模で起きるか、という問題ととてもよく似ています。マクロ的にいつまでにどの辺りでどの程度の地震が起きるかは予知できても、いつ、どこで、どういう規模で起きるかと、ミクロ的には決して知り得ないのです。そして、それを解明できる、或いは解明した、予知できたと断定的に考えることは、株価に関しても地震に関してと同様、大変危険なことだと思います。